コメディ・ライト小説(新)
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.15 )
- 日時: 2020/12/07 19:19
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#14 「学食のアイスティー」
「えぇっ、そんな悩み?」
陽和は少し苦笑しながら、サンドイッチに口をつけていた。
「そんな悩みって…鼻であしらわないでよ。」
「ごめんごめん、だって悩むほどではないでしょう?紅新ちゃんが既読しないって…どうせ忙しいんじゃない?と言うか、思春期の女子ってだいたい家族と距離を置くもんよ。…あ、もちろん私は家族と距離置いてないからね。」
「へぇ、意外。」
「ええっ、意外なもん?」
午後。カフェテリアにて。
稔川高校は珍しくカフェテリアがあり_____かわりに購買部がないけれど____だいたいの生徒がそこで昼食を取る。だからか、ほとんどの席が生徒で埋め尽くされており、空席を見つけるのはかなり困難であった。メインディッシュやドリンク、デザートもあり最近では“バナナスムージーと言うものが流行っているらしい。そして、今私は陽和と共に昼食を取っている。
目の前には、アイスティーとカツサンド定食。
結構前に頼んだのに、まだ全然減っていない。
「まぁ、そうかもしれないけどさ。ちょっと心配なんだよ。」
「え〜、紅雨は心配し過ぎなんだよぉ。きっと紅新ちゃんも紅新ちゃんで上手くやってると思うよ?紅新ちゃんは強い子だから。私が保証する。」
「そっか…。」
私は冷えたアイスティーに口をつけた。
それを一口吸い込むと、茶葉の香りが鼻から抜けていく。…この香りと共に、悩みも抜けていけばいいのに。
「ほら、紅新ちゃんは紅優ママと一緒で以外としっかりしてるでしょ?ましてや、紅さんの妹だしこの先絶対苦しまないって!…あ。紅雨、全然箸進んでないじゃん!早く食べないと冷えちゃうよ。」
“紅優ママ”と言うのは、“櫻庭 翡翠”…義母さんの事だ。血は繋がっていないので、“紅新ママ”の方が妥当だと思われるが…。
「でも。紅新なら大丈夫か。」
思いにふけながら飲んだアイスティーの味は、ほんのり甘かった。