コメディ・ライト小説(新)

Re: もう一度。 ( No.9 )
日時: 2021/02/20 13:23
名前: ∴夏みかんの妖精 (ID: f.iAZwEP)

6話「欠片」



1時間目の国語の授業が始まった。カッカッカッ、と黒板に字が書かれていく。国語の担当の教師が話を始める。それらは子守歌のように、私達の睡魔との闘いを促す。どこからか、小さな欠伸がしたと思えばすぐに波がやってきた。あーねむ…と小さな声がしたり、もう我慢しないと諦めたように眠る人もいた。

私も例外じゃなくて、寝るか寝ないかのギリギリのところで戦っていた。学校案内の練習をして気を紛らわそうと思ったが、それもできそうにない。こっちに目を向けて、「寝るな」とでも怒ってくれたら集中して授業に__いや、授業を受けてるふりくらいならできるのに…と、そんな事を思いながらうつらうつらする。

もうダメだ…諦めて寝よう。そう思ったとき。


パチッ____!


静電気が起きるような痛そうな音がしたと思ったら、ぐわんと浮遊するような感覚が私を襲った。

「な、なにこれ!助けて!」

精一杯の大きな声で助けを呼んだつもりだったが、どうやら誰も聞こえていないみたいだ。誰も何も反応してくれない。いつの間にか、色の着いていた日常が色彩を無くしている。なんだか自分だけが生きている世界のみたいだ。これは、私にしか見えていないのだろうか…?

不気味さが私を襲うと、また浮遊感がきた。

「い…いやだ…いやあああああああああ!!!!」



____________

_______

__



「2年1組 教室」


『えーっと、次の授業は国語かぁ…。』

時間割を確認してから準備を始めると、私の隣の席に、人だかりができた。

『南くん_ろ__ね!』
『LINEやっ_る?』
『好き__なに?』

遂に来た転校生にみんな興味津々だ。もちろん私もなんだけどね。質問したいことは沢山あるけど、こんな人ばっかりじゃ、私の小さめな声は掻き消されちゃう。後で自己紹介しよう!そう思って、華蓮のところに行くことにした。

『華蓮、おはよう!』
『香__の隣のせ_なの?転__生くん。羨_しいなぁ。』

なんだかキラキラした(ような)目を私に向けて羨ましがる。そんな目で見つめられると、恥ずかしかったりする。

『うふふ!このときだけは自分の席を神だと思ったよ!

あ、そいえばさ、放課後に学校案内するんだよね?』
『うん!私_転校__く_と仲_くな_ちゃ_んだ__!』

華蓮は気合いを入れたみたいに鼻息をフン!と吐いた。そんな様子を見ると、私も案内したいな!とは言えなくなってしまった。自分の席の様子をチラリと見ると、さっきより人が少なくなっていた。もう座れそうだ。

『うん!放課後頑張ってね!』

小さく手を振って席に戻ると、転校生くん_って、呼んでいいのかな?_は話し掛けてくれた。今こそ自己紹介のチャンスだ!

『_______南昴。_____、_____。』
『う、うん!よろしくね!私の名前は__』

_________

_____

__

「__さん!聞こえてますか?」
「__野さん!!」

「北野さん、先生が呼んでるよ。」

「ハッ、はい!__って、え?」

気づいたら、私は教室に戻っていた。状況が理解出来ずにいると、先生が言った。

「北野さん。どうしたんですか?急にボーッとして…。あなたらしくない__。」

アハハハと皆が笑うが、私はそんな場合じゃなかった。今のは何だったのだろうか。夢_かと思ったが、妙に生々しい_だとしたら、記憶の欠片のようなものだろうか。所々抜け落ちていたし、ぼやけた景色だったが、あれは私だ。

ズキン

頭が痛み出したら、ふと朝見た夢のことを思い出した。忘れていたような気がしていたのに。何故だろうか__とても、気持ちが悪い。