コメディ・ライト小説(新)

Re: 推しはむやみに話さない! ( No.4 )
日時: 2021/04/08 18:28
名前: 狼煙のロコ (ID: hDVRZYXV)

『#時幻様の人気は揺るがない!』

 しばらくすると、ガヤガヤとした、学校への通りに出た。
 多くの生徒たちの会話が“一つの話題”で持ちきりだ。

「昨日の『草木の町人』やばくない!?」
「それな! まじそれな! 私の推しが時幻様に変わっちゃうかも~」

「今回の時幻、名言連発してんの凄かったなあ」
「カッコいいよなあ、中学生がマネしそうw」

 改めて昨日の話の凄さが分かる。
 時幻様は本当に愛されキャラだなあ。
 
 感慨にふけていると、後ろから私たちを呼ぶ声が聞こえた。

「やっほー! のっちー、あややー」

 楓は“あやや”って呼ばれることが多い。けど私のことを“のっちー”なんて呼ぶのは一人しかいないよね。
 
 はきはきとしたその声はいつも聞いてて心地よい。
 私と楓は、目を見合わせてにっこりと微笑み、後ろを振り向いた。
 
「おはよう! キキちゃん」
「おはよう、キキ」

 香久山かぐやま 輝姫きき、学校の人気者だ。いつも元気で誰にでも明るく接するため、多くの生徒が彼女を慕っている。
 身長が高くて運動神経も良く、男子にも劣らないほどだ。
 スラっとしている爽やかな顔がとても印象的で、名前負けしないキラキラさ!

 そんなキキも昨日の『草木の町人』に興奮している。

「いやあ、すごいよね。さすが時幻様。私の推しじゃないけど、あのカッコよさは認めざるを得ないね」

 それを聞いた楓が目を輝かせる。

「そうだよね! そうだよね! みんな時幻様はカッコいいと思うよね! 昨日ので時幻様を推しにする人が増えるといいなあ」
「いっぱい増えると思うよ。ああ、阿連武あれむ推しが減ってしまう」
「人数は関係ないよキキ、どれだけ愛してるかだよ」
「おっ! のっちーいいこと言う~」

 私たちは時幻様についていっぱい語り合った。

 そんなこんなで学校に着く。校門の周りに咲くラベンダーが今日も美しい。
 学校に入り、下駄箱で靴を上履きに履き替えると、キキが手を腕から大きく振る。

「それじゃ、またね。のっちー、あやや」
「またねー!」
「ばいばい」

 キキとはクラスが違うため、下駄箱で分かれることになるのだ。
 キキが下駄箱から廊下を右に曲がる。私と楓はキキに笑顔で手を振った。

 私たちは廊下を左に曲がり、1年4組の教室の戸を開ける。

 すると、教室からたくさんの私たちへの挨拶が聞こえた。

「おはようのーちゃん」「おはよう楓」「大柴おはよ~」「あやや今日もかわいいね~」
「お、おはようございます。綾谷さん」「野花おっは~」

 ああ、今日もいい日になりそう!
 私も楓も、教室のみんなに満面の笑みで言う。

「おはようみんな」
「みんな~おはよう!」

 こんな楽しい毎日を過ごすために
 
 今日も私は











 

 何としてでも推しを隠し通す!