コメディ・ライト小説(新)

Re: 学力そこそこの私が中学受験した話 ( No.1 )
日時: 2021/02/17 17:24
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第1話 ~塾選び~

     ー恐怖ー

そんな感情を抱いていた。
塾なんて、未知の領域だった。
何時間も勉強して、間違えたら怒られる。
そんな偏見を持っていた。

通える塾はかなり限られていた。
1人で電車に乗るのが怖くて、
だから車で通える範囲しかなかった。

最終的には母か決めた。
車で片道5分程度の個別塾。
「見た中で1番真面目そう」という
謎の理由から。
高校受験専門の塾らしいが、
数人の中受生もいるらしい。

少し不安だった。

塾の先生に聞かれた。
「どうして中学受験したいと思っているの?」
私は答えた。
「年上の友達もしていたから。」



     本当は違うけど。

Re: 学力そこそこの私が中学受験した話 ( No.2 )
日時: 2021/02/17 17:25
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第2話 ~互いの嘘~

塾に通い始めた時は、
小学校の予習程度のものしか
やっていなかった。
中学受験の講座ではなく、
普通の小学生の講座に
入っていたらしい。

理由は...知らない。
本気だとは思っていなかったのだろうか。
中学受験について、
あまり知らなかったからだろうか。
真の理由を伝えていないからだろうか。

まぁ、そんな難しい事は、小学4年生だった
私には考えられなかった。


「ひどい。
 私は本気で頑張ろうと思っていたのに。」

考えるよりも先に、
そんな言葉を母にぶつけていた。
半泣きのような声で言った。
少し、困ったような、戸惑ったような
表情をしていた。

「そこまで言うなら...。」

と渋々受け入れてくれた。



どうして、お母さん。
少しは我儘うそ、言ってもいいでしょ。

Re: 学力そこそこの私が中学受験した話 ( No.3 )
日時: 2021/02/18 19:11
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第3話 ~隠し事~

クラスの皆には、
何もかも秘密にしていた。
中学受験する事も、塾に行っている事も。

皆は「ふーん」で終わる。
私も言ったからやる気が出るとか
そんなの無い。

だったら、
別に言わなくてもいいじゃないか。


ある子は、「頭が良くてズルい」と言った。
ある子は、「最近、成績良いね」と言った。

私が全然勉強していないのに、
成績が良くなったような口ぶりで。


感のいい子が言った。

     ー何か...隠してる?ー

「別に。何も隠してないよ。」




    どうせ言ったって、無駄だから。