コメディ・ライト小説(新)

Re: 学力そこそこの私が中学受験した話 ( No.35 )
日時: 2021/04/09 23:21
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第35話 ~進級~

「6年生は最高学年だ。
 だから、他学年の生徒の手本となるように。」

この言葉を何回聞かされただろうか……。
でも、がんばらなきゃ!
私は……入学式の時の6年生みたいに……。

たよれる6年生になるんだ!!!

だけど……上手く出来るかな?

「おい。生きてるか。」

その声を聞いてはっとした。
ひとつ結びで、オシャレや流行を
全く気にしないような服装。
つかみ所の無い、ミステリアスで
少し変わった子。
いつでも冷静な態度や声。
"佐藤 実"だ。

「ごめん!考え事してた……。」

「光にしてはやけに静かで……
 タマシイでもぬけてるのかと思った。」

例えは少し変わっているが、
一応周りの変化を察してくれる優しい子だ。

「そういえば、クラスいっしょだね♪
 よろしく!」

「今さらか……。まあ、よろしく。」


実は去り際、少し不安げな表情を
浮かべたが、光はそれに気づかなかった。

Re: 学力○○○○の私が中学受験した話 ( No.36 )
日時: 2021/05/02 18:05
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第??話 ~プロローグ~

中学受験をした年上の友達に憧れて、
私も中学受験をしたいと思った。
それが、この物語の再出発はじまり

ー私も頭が良くなりたいー

たったそれだけ。
それだけ?
それだけじゃない、今の私は。
何かが心の中で渦巻いている。

そんな私"佐藤 みのり"の物語。
一般人だった私の、少し変わった物語。

学力"そこそこ"だった私は
学力"まあまあ"になっていた。

私はいつから……
普通じゃなくなったんだろう。

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.37 )
日時: 2021/04/13 18:11
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第36話 ~お知らせ~

「転塾?」

「そう。ここは知っての通り
 高校受験専門の塾で
 小6生も少ないんだよね。
 だから教員は足りてないし、
 充分な指導は出来ない。
 だから、一駅行った所に大規模な塾が
 沢山あるからそっちに行った方が
 君達のためだ。
 安藤にも話してある。」

百合は先に帰っていた。

「なんで今更……。
 育児放棄ならぬ教育放棄かよ。
 ちなみに百合はどうするんですか。」

「安藤は親と決めるらしい。
 まあ、大事な事だからな。
 佐藤も家でゆっくり考えてこい。」

ゆっくりって……そんなに時間無いのに。

「教科書とか周りの人とか……
 今更変えるなんて無理です。」

「たしか、一駅行って"乗り換え"て、
 さらに一駅行った所にここと同じ塾が
 あるが、そこには中学受験用の
 コースがあった気がするな…。
 そことここの教科書は同じだし、
 先生も顔見知り程度はいるが……。」

"乗り換え"か……。電車は面倒だな……。

「わかりました。考えてみます。」

「わかった。」

その時、先生は
少し安心したような表情だった。

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.38 )
日時: 2021/05/02 18:06
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第37話 ~迷いと不安~

先生に「家に帰ってから決めます。」
と言ったはものの、
私の選択は決まっていた。

いや、確定……っていう訳ではないけど……。
本当に、その選択でいいのかな……?

ああ、駄目駄目!
私自身で決めた事に不安を感じてしまう。
私の悪い癖だ。

「百合!!!」

後ろから実が走って来た。
塾から数百mの距離だったが、
息が切れていた。

「どうしたの?走ってきて。」

なんとなく用件はわかるが。

「決めたか?塾の事。」

私は……



「ううん、まだ決めてない。」

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.39 )
日時: 2021/05/02 18:07
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第38話 ~新メンバー~

「いっしょに帰ろ~!」

「うん♪」

6年生になって1人、友達が増えた。
転校生で人目のある所では大人しいが、
私の前では明るい子になってくれる。
最近、そして今もその子と帰っている。
そういえば……実といる時間減っちゃったな。

「どうしたの?ぼーっとして……?」

「……ううん!何でもない!」

最近考え事が増えたような……。
気のせいか!

「ねえねえ、面白いマンガ見つけたんだけど……
 良かったら家来て見ない?
 ね?良いでしょ?」

そっちからさそってくれるなんて……
めずらしいな。

「わかったわかった!近いよ~。」

「okね!ありがとう!」

実もさそっても……いいよね。

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.40 )
日時: 2021/05/02 18:08
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第39話 ~正しい答え~

最近光と遊んでいない。
前に「一緒に友達の家に遊びに行こ」って
誘ってくれた。
その時は遊んだが、それ以来全く
遊んでいないし
少し、光との距離が遠くなった気がする。
あの時。
遊びに行った時も
2人の会話に混ざれなかった。
いつも通り話せば良かったのに、
話す時は光から質問された時だけ。

頭の中がもやもやする……。

……いいもん。
どうせ、あと数ヶ月で終わる友達。
中学は違うんだから、深く考えなくていいし。

それより、塾をどうするかだが。
自分の考えは、もうまとまっていた。

"この塾に留まる"

それが、自分で導き出した答えだった。
しかし、夏になった今でも
心に留めたままだ。



誰かが言った言葉を思い出す。

     ー正解なんてー
ー誰にもわからない問題もあるんだよー

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.41 )
日時: 2021/05/02 18:09
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第40話 ~やっと言えたよ~

「私はこの塾に留まる事にするから。」

「……」

何も言えない……。
私の気持ちを言えない……。
一緒に電車で行こうよって言うだけなのに……。

「百合はどうする?」

「……まだ、決めて……」

「そろそろ決めなよ。」

実に遮られてしまった。

「……決めてるんでしょ、本当は。」

「っ!!」

(どうしてわかるの?)

「どうしてわかるのって顔してるね。
 百合、わかりやすいよ。
 ……1年以上一緒だからね……。」

「そっか……。」

「で、どうす……」

「電車で行く!
 乗り換えて、今と同じ塾に行く!」

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.42 )
日時: 2021/05/02 18:09
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第41話 ~いつのまにか~

あ、暑い……(;´A`)
で、でも……

夏休みだ~!!!

え?時間飛びすぎだって?
気のせい気のせい!
この数ヶ月で変わった事は……
百合ちゃんが交かん日記ぬけたくらいかな。
まあ、光とは関わり無かったからね。

さ~てと、毎年恒例お手紙タイム!
今回は誰に書こうかな♪
転校生ちゃんと、その友達と……。

あっ、実!
でも、最近遊んでないし……
お返しくれないし……
光をさけているような気もするし……
今回はいっか!
日記で話してるしね!

1人1枚、計4枚の紙を用意した。

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.43 )
日時: 2021/05/03 16:46
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第42話 ~山の梺~

百合と別の道を歩み始めてから
早1ヶ月が経った。
一緒に行こうよって何度も言われた。
でも……私の決断は揺るがなかった。
もう、決めたから。

そこには少しだけ、罪悪感があった。

それから、百合は交換日記を抜けた。
もっと受験勉強に力を入れたいからだそう。
自分は……光と唯一の話せる場所を無くしたくないから、続ける事にした。



もう夏休み。
自分は天王山に登れているのだろうか……?
頂上に向かって歩けているのだろうか……?



まだふもとにいる自分。
先に登り始めた百合。



-入試まであと6ヶ月-

Re: 学力まあまあの私が中学受験した話 ( No.44 )
日時: 2021/05/04 18:13
名前: 春風 (ID: qs8LIt7f)

第43話
~番外編② お久し振りです!~

とある日の帰り道だった。
授業後に自習室へ行ったので
星の光が輝いていた。
階段を降りている時……

「ねえ、私の事覚えてる~?」

声をかけられた。
何処か見たことあるような、無いような……。

必死に記憶を辿る。
もしかして……。

「先輩さん?」

「あははっ、私の事そう思ってたの~?」

しまった。
"先輩さん"は心の中の呼び名。

「ち、違うんです!そのっ……」

「あははっ、全然いいよ~♪
 まだ名乗ってなかったからね~。
 私は"星野ほしの あま"だよ~。」

「ホシノ?!」

話を聞くと天先輩は光の姉だったらしい。

「光はどう?仲良くやってる?」

「実は、最近あまり一緒にいれなくて……。」

最近光との距離が遠い事、
唯一の塾友と離れてしまった事、
なかなか成績が上がらない事……
色々と相談した。

最近の悩みが、山が噴火したかのように
噴き出していた。
無意識に語りまくっていた。

天先輩は、その悩みを掃除機のように
吸いとってくれた。



天先輩は笑っていた。
苦笑いではなく、嘲笑いでもなく、
自分の体を包み込む……優しい笑いだった。