コメディ・ライト小説(新)

Re: 魂の終着点 ( No.5 )
日時: 2021/09/11 21:32
名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)

「さて、君は何の罪を犯したのかい?」
「貴方が傍観者という事なのね……。」
「傍観者かぁ。ま、ちょっと違うけどね。」

ー魂の書ー
「おねえたん、わたしひとをしあわせにしたい!」

人を幸せにする人間になりたいと、幼い頃からずっとそう思ってた。
でもある日を境に、そんな事考えなくなった。

「あなたはあたしの大切な妹だよ……。」

幼い頃からずっと不運体質で、周囲に不幸をもたらす存在だった私に、幸せを振り撒くお姉ちゃんは寄り添ってくれた。
でもそれは同時に、私が不幸だと気付かせてしまった。
人と違って私は幸せになれないんだと。
その時から多分、私は心が壊れて凍ってたんだ。
お姉ちゃんと縁を切ろうって決めて、さよならしようって。
でもお姉ちゃんは自分が裏切られたんだって混乱してた。

「お姉ちゃんに気付かれたくない……。お姉ちゃんは幸せのままで、私が死合わせにしてあげなきゃ。」

真実は時に絶望だと、お姉ちゃんにはそのまま幸せでいて欲しいから。
自分を頼ってくれる姉を、静かにナイフで首筋を斬った。

「君は殺害の罪に値する。だけど、君の姉を想う気持ちは確かに正解だったよ。だからちゃんと絶望せずに幸せになれた。」
「お姉ちゃんが……最後まで幸せでいられたのなら、良かった……。」

安堵するその顔は、何処かで昔見た様な気がした。
でも、それは全く思い出せない。思い出したくは無い。