コメディ・ライト小説(新)
- Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.1 )
- 日時: 2021/08/30 11:15
- 名前: 雪見餅 ◆Jhc7o2e8z6 (ID: 0LEStScZ)
1話 純白の血姫
「姫様、紅茶をご用意しましたので、テーブルに置いておきます。」
そう告げて一礼し、テーブルに紅茶を置き部屋を去った。
私の名は不知火 月音、エリュシアオンラインにて『純白の血姫』と呼ばれるプレイヤーです。
エターナルホワイトというギルドの創設者にて、ギルドの姫。
ギルドメンバーは姫である私の守護を目的とする者達で構成されています。
種族は吸血鬼を選択していて、昔は鮮血の血姫だとか、そういう時代もありました。
「紅茶、冷めるけど良いの?」
「ありがとう。それで、何の用ですか?霧夜 透。」
忠告を受け、紅茶を手に取りゆっくりと味わう。
彼の名は霧夜 透、『誓約の雷魔』と呼ばれるプレイヤーです。
「月音の守護に決まってんじゃん、そういうギルドだしさ。」
「それもそうですね。エリュシアに囚われてから、ここに来るのは少なかったですから。」
透がこの部屋に足を運ぶのは、エリュシアに囚われてかは初かもしれない。
透は自身の反対側の椅子に座り、窓の外の何も無い景色を退屈そうに見ていた。
「というか月音現実世界でもその姿なんだな。」
「はい。自分なりに、この白い髪と赤の瞳は気に入ってるんです。違う姿だったら自分では無い気がするので。」
「そっか。」
案外と素っ気無い反応が返って来た。
透はエリュシアに囚われてから、何も無い青空をただ眺める事が多くなった。
何だか、無邪気だったあの頃の透とは、見違えて大人になった気がした。
「そうだ!折角透も居る事ですし、久しぶりに魔物でも狩りに行きましょうか。」
「はぁ……。全く、俺達の姫は随分と俺達の仕事を増やそうとする……。」
「心配は無用です。私も参戦しますので、余り仕事はありませんよ?」
椅子から立ち上がり、笑顔でそう提案をすると、空中に指を置きウィンドウを操作していた。
伝説級の杖、星竜の杖をインベントリから取り出し、ギルドハウスの扉を開け外へと出た。
「腕が鈍ってなければ良いのですが……。火炎炸裂」
「はー。相変わらずの威力だこと、元ランク1位は伊達じゃないって感じ。」
エリュシアオンラインでの、対戦にてランク1位に一度だけ輝いた事がある。
でも、その後直ぐにランク戦を抜けたから、元が付いている。