コメディ・ライト小説(新)

Re: 幻想エリュシアプリズン【ストーリー始動】 ( No.3 )
日時: 2021/09/06 23:00
名前: 雪見餅 (ID: 0LEStScZ)

  3話 姫の誘拐

朝起きて、ギルドメンバーと今日の守護担当を決める。
今日は俺が暇だったので、俺が守護に付く事になった。
あの日、月音と共に魔物を倒しにダンジョンへと向かった日から数日が経った。

今日は珍しく月音が寝坊をしている様だった。
月音の自室をノックするも、何も返事は帰って来なかった。
寝ているのだからと思い、無断で部屋に入ると、そこに月音の姿は無く、荒れたベッドと普段閉じている窓が開いていた。
そこには誰かが侵入した痕跡があった。
夜の間か、先程の朝の会議の時間に拉致られた。
それに怒り、直ぐにギルドメンバーへと伝達した。

「至急、全員集まれ。先程月音の部屋に入ったが、何者かに侵入され拉致された。全員総出で探し出せ!」

命令を出すと直ぐに散会し皆が探しに向かう。
そんな中1人、俺に声を掛けて来た奴がいた。

「透団長、姫様に変わった様子は御座いませんでしたか?」

「ああ、特には無かった筈だが。強いて言えば朝とても酷く怯えた顔をする事はあったな。」

「実は近日、部屋が近いので聞こえたのですが姫様が夜中泣いている声がしたのです。痛いとか、苦しいとか、怖いとも言っておられました。」

あの日の出来事を思い出す。
現実世界で地下牢に居るんだ、そんな事を言ってもおかしくないだろう。
でも、それが近日となると何か最近あったのかと思われる。

「情報提供感謝する。お前も直ぐに捜索に移れ。」

「いえいえ。姫様の安全が我々の幸せですから。」

その後、メンバー総出で捜索をしたが、一向に見つかる気配は無かった。
そして俺は、あるダンジョンを捜索している。
記憶のダンジョン。誰も手をつけてないダンジョンの為、居る可能性は大いにある。
とてもあっさりと攻略出来たと思えば、少女が空に浮き、自身に向かって言葉を告げた。

「ここは記憶のダンジョン。我エリュシアの名において、汝に試練を課す。」

「汝の忠誠を、優しさを我に見せなさい。」

そう告げると、光と共に何かの光景が目に見える。
少女が、家族と見られる者達に蹴られていた。
気絶した少女を抱え、鉄格子の部屋に放り投げる。
やがて目覚めた少女は大柄な男に連れられ、鞭で打たれ、蹴られ、殴られていた。
ああ、この少女は不知火 月音本人だと、そう直感が囁いた。

そんな日々が毎日、現実世界に帰るのを躊躇うのも頷ける。
画面は切り替わり、大柄な男がエリュシアの旧魔王領に居る所が見える。
そこにきっと彼女がいる。

「彼女の記憶を俺に見せて、何をしたい?俺達を捕らえたエリュシア。」

「彼女がこの様な境遇でも、姫で無くても、貴方は彼女を守れますか?……愛せますか?」

「少なくとも俺は、俺達の姫を傷付ける奴が許せねぇ。助ける為だったら何だってやる。お前は、月音の居場所を知っているのか?」

「旧魔王領……そこへ行きなさい。私は充分、皆と遊べた。目的は達成できました。後は貴方達の問題が終われば解放します。」

何だか良く分からない事だらけだった。
でも、俺達のやることは変わらない。
姫を助けることだ。