コメディ・ライト小説(新)
- Re: 強すぎて力の制御ができません!! ( No.15 )
- 日時: 2021/09/19 20:44
- 名前: 花桜咲 ◆WBRXcNtpf. (ID: 7VvLld12)
ーーツメタイーー
彼は無意識のうちに心に氷を張っているようで。
総隊長には会うことができなかった。ただ、私をおびき寄せるために桜菜さんが嘘をついたようにも見えた。罠のように。
「この地球防衛能力隊はいくつかのグループに分かれて他国からの攻撃のためのトウカを倒してもらう。」
桜菜さんは何故か『他国からの攻撃のためのトウカ』の部分を少し力強く言った。やはり何かを隠している。
「殆どの能力者は最初は能力を操ることができないから、何ヶ月か能力学校に行ってもらうんだけど、……えっと………遥菜ちゃんはある程度操ることができてるらしいと聞いたから、最初からグループに入ってもらうことにした」
『ある程度操ることができてるらしい』と聞いただと? 誰に聞いたんだろう? ああ。私が助けたあの男? あの男私の能力のことを話してないといいけど。
「1つのグループに5属性の能力者を1人ずつに入れること
になっていて今日は偶然、金属製の人が足りていないグループの全員がここにいるから面会してもらおうと思って」
偶然とは思えない。
「それじゃこっちに来て」
「え? いや。はい」
桜菜さんに連れられ、本部がある建物の部屋の奥に進むと少し小さめな部屋があり、4人の男女が立っていた。
「やっほー! 何日かぶりだな!」
「あー!! こんにちはー」
私に最初に声をかけてきたのは、あの男。気さくに話しかけてくれたから私も軽く反応することができた。
「じゃあ、わたしはこの部屋から出るからあとはよろしくねー」
桜菜さんが出ていってしまった。話すことがなくて沈黙が続いてしまう。
「ん………と………じゃあとりあえず自己紹介からでしょ普通。ね、雪月」
「うん、普通は自己紹介だと思うよ。風花」
「じゃあ俺から言うぞ。炎夏 龍羅。高1だ。火属性だ! よろしく!」
「ふうん。名前の割には弱いんだね。」
「はぁ? ちげーわ。あのレベルのトウカを新人のくせに普通に倒せたお前がおかしいぞ」
炎夏 龍羅か。これから仲間になるのであれば名前は覚えておかないと。
「次はあたし〜。黒羽 風花。雪月の双子の姉でーす。土属性でーす」
「そして私は黒羽 雪月。雷属性だよ。よろしくね」
双子の姉の方は明るいイメージ。妹の方は姉よりもしっかりしていて頼りになりそう。
「霧崎 奏天。水属性。よろしく」
一番最後の人は冷たい。態度が冷たいとかじゃなくて、心を氷で覆い尽くしてしまっているようで、冷たかった。
「えっと。私は金属性の遥菜 歌乃。絶対に名字で呼んでください! よろしくおねがいします!!」
「お前、不運だったな。俺たちのグループはグループS。地球防衛能力隊の中で一番、異常な奴らが集まったグループなんだぜ!」
「え? そんなの聞いてないんですけど……?」
ビィィィ!! ビィィィ! ビィィィ
突然鳴り響いた。大きな警報音。
うっさ。何この音。いきなり何よー!!
「トウカの出現を確認。Aクラスと予想される。グループS、出動せよ」
いきなり出動か。みんなの力がどれくらいかもわからないのに。
「Aクラスだと!? そんなやつ俺らに倒せるかよ! 出動だと言われたらしょうがないけど。じゃあ。行くぞ」
炎夏がそう言ったのを合図のように、動き出したグループS達を桜菜は冷たい目で見届けるのだった。
「どうせ直ぐに死ぬでしょ。弱いくせに真面目で気持ち悪いんですけど。馬鹿みたい。馬鹿なんだけど。」
すでに本部から出ていったグループSに向けて桜菜はボソリと呟いた。