コメディ・ライト小説(新)

#死線コンビ ( No.2 )
日時: 2021/09/18 14:00
名前: 花桜咲 ◆WBRXcNtpf. (ID: 7VvLld12)


 笑顔という鉄仮面をつけた不思議な少女。俺はその子が誰かに心をひらいているところを見たことがない。千景ちかげ羅菜らなお前は何を隠している?



 ここ日本の人たちはトウカを他の国からの攻撃だと思っているらしい。人間をトウカという怪物に変えているのは魔族だというのに、人間は魔族を知らない。
「ばいば~い。また明日ねー」
 明るくて可愛い少女かここでは人気者になるから、羅菜はこの学園にいる間いつも笑顔で優しい女の子を演じている。今日は部活がない日だけど、約束があるからと友達には先に帰ってもらった。その約束とは。
「待たせてごめんね……」
 教室に残っているのは羅菜と長いめの前髪が目元を隠していてどこを見ているかがわからないクラスメート。
___トウカはこういう人に集まりやすい。
羅菜は突然、鞄からスマホを取り出し、誰かに電話を掛ける。
「いいやつ見つけた。今すぐ来れる? え、うん。了解です。私が連れて行ったらいいんですね? わかりました」
 羅菜の電話は数秒で終わった。
「一緒に来い」
「え?」
「今から死線デッドラインの本部に行く」
死線デッドラインって何だよ」
「お前には関係ない」
「関係なくねぇんだよ! おい! 返事しろよ!
 連れて行くな!」
 羅菜は少年の質問は無視し中3の女子だとは思えない力で少年を引きずって学園の外に出た。学園の外には普段なら止まるはずのない黒い高級車らしき車がいた。
羅菜がその車の近くに立ったところでその車のドアが開き当然のように乗り込んでいった。
「おい! お前はお金持ちなのか? 親はなんの仕事をしてるんだ!?」
 あーうざいうざい。何こいつ。連れてこなかったら良かったー。
「あーうざいうざい。何こいつ。連れてこなかったら良かったー」
「は!? 心の声が漏れてるぞ!」
「はっ……私としたことが。というより、お前の名前はなんと言う?」
六明むめい 朔斗さくとだ。それよりどこに向かってるんだよ!?」
「さっき言った。死線デッドラインの本部だ」
 学園から数分進んだところで車が止まった。
「ここから先は歩いていく」
 自動でドアが開き二人は車から降りた。
人通りが少ない道に車は止まっていてそこから人が絶対に通らないと思うすごく細い道に入っていった。
「何だよここ。狭すぎだろ」
「うっさい。黙っとけ」
 ___千景ってこんなやつだったっけ? もっと明るくて笑顔で優しくてふわふわしてるやつだと思っていたけど。少なくとも俺は演技に見えていたけど。
 少し行くと道が少し広がり、建物のドアがあった。鍵は掛かっていなくてガチャリと取手を回して開ける。その先にはまた、道があった。
「どうなってんだよ……」
「うっさいバーカ。この先は絶対・・に私が歩いたところを踏め」
 羅菜は何かを避けるように不思議な感じに道を歩いていく。またドアがあって今度は鍵がかかっていた。
「どうすんだよ! 入れねえじゃん」
 六明がつぶやく。
ガチャッ
「は?」
「うっさい黙れ。」
中に入ると、階段が続いていた。
カン、コン、カン、コン………
「やっほー!! 連れてきた?」
 登ったあとに待っていたのテンションが高い少女だった。
「うん。連れてきたよ」
「えっ? は?」
「どうぞどうぞ! 中に入ってー!」
「え? いや……」
「遠慮は無しー!」
 部屋の中は先程までの薄暗さはなくなり電気もきちんとついていて明るかった。
「どういうことですか……?」
「ん? もしかして千景ちゃんこの人になんにも説明してない?」
「えっとまぁ……忘れてました」
 羅菜に質問した少女は苦笑いを浮かべるのだった。