コメディ・ライト小説(新)

Re: 閻魔の娘が人間界を観察するそうです。 ( No.2 )
日時: 2021/09/19 12:08
名前: 柊 (ID: r306tAcU)

第2話 『地獄の姫、人間界に見参します!』


地獄から人間界へ移動し、目的の学校へと向かっていく慎。
慎が行くのは高等学校である。
校門を潜ると、他の生徒がざわざわと話し始めて慎の事をチラチラと見ていた。
「(……ふふ、人間共め。この美貌を堪能するとよい)」
当の慎はそれを楽しみ、嬉しそうにしていた。
そんな慎は高校一年生の転校生として、この学校に潜入する。
※手続き?そこは妖術でチョイチョイじゃ!←



一年A組教室。そこでは、転校生が来ると生徒達が胸を踊らせていた。
男の子かな?女の子かな?どんな子なんだろう。
しかし、生徒達はまさかそれが地獄の姫とは知らない。知らなくても何にも損はしない。
そして、教室に先生と思わしき男性が入ってくる。
「皆、おはよう。元気?」
爽やかな笑顔で生徒達に笑い掛ける。
すると、生徒はムッとした顔をして彼に言い出す。
「先生転校生はぁー?」
「さっちゃん嘘ついたの!?」
そう『さっちゃん』と呼ばれるのは櫻井さくらいよう
一年A組の担任である。
洋は「はいはい………」と困った顔をしつつ教室の扉を見てパンパンと手を打つ。
「転校生さん、入ってきてー」
その声と共に、教室に入ってくるのは慎。
瞬間、「可愛い……」という声が上がる。
「閻羅慎です。これからよろしくお願いします!」
慎は満面の笑みでそう言った。



ホームルーム終了後、さっそく慎の周りに生徒が集まった。
「ねぇ!慎さんは、どこから来たの?」
とある生徒の一言。慎は怪しげにニヤリと笑うと指で下を指差した。
「地獄じゃ。どうだ?凄いだろう?」
教室がシーン、と静まりかえる。
しかし、直ぐに笑いで溢れた。
「あははっ、慎さん冗談上手~!」
「確かに~!」
生徒達を見ながら慎は苦笑しながら呟いた。
「冗談じゃ無いのだがのぉ……」
そんな彼女の呟きは、誰にも届きはしなかった。
そして、そのようなやり取りを遠目から見つめている一人の女子生徒が居た。
その少女は頬を紅潮させ、手足を震わせる。
「地獄は………本当にあるんだ……」