コメディ・ライト小説(新)
- Re: 閻魔の娘が人間界を観察するそうです。 ( No.4 )
- 日時: 2021/09/19 16:05
- 名前: 柊 (ID: 9yNBfouf)
第4話 『オカルトマニア霜月ちゃん!』
慎は生徒の溜まりを抜け、先程の少女の所へ行く。
「もう大丈夫か?」
少女は慎の問いかけに微笑みながら頷く。
慎はそれを見て嬉しそうに少女の頭を撫でた。
「あの、ありがとうございます、閻羅さん」
少女は撫でられて嬉しそうにしつつ、お礼を言った。
「慎でよい。お主の名は?」
姓で呼ばれた為、名前で良いと言うと慎は少女に名乗るように言った。
「ぼっ、僕は霜月光です……」
少女は光と名乗った。
光は、床を見て無残に破かれた本を見て再び涙を流した。
それを見た慎は周りの生徒や光に目を閉じる様に言った。
慎は本だった物達を寄せ集め、手を翳す。
すると、本は元に戻ったのだ。
「もう目を開けてもよいぞ」
生徒達は目を開け、本を見るなり驚きの声を上げた。
「えっ?何をしたんですか!?」
「やっぱ慎さんすご~い!」
慎は褒められて満足そうに笑った。
◆
その日の内に慎は『不思議な転校生』として有名になっていた。
………不届き者の天敵としても。
慎は不良等を見るなり「地獄に送ってやろう」と脅しているのだ。
地獄の姫と悟られない様に……の筈だったのだが。
これを骸が見たら絶叫して魅琴の様に眠ってしまうだろう。
実際、担任である洋は頭を抱えていた。
「マジで閻羅さん何者……?」と。
爽やかなイケメンが台無しである。
◆
放課後、慎は光と話をしていた。
その内容は『地獄について』である。
光は若干興奮気味に。慎は楽しそうに。
「あのっ、慎さんって地獄から来たんですかっ?」
「そうじゃよ、それに姫じゃ」
慎は誇らしげに言う。もう悟られない所か言ってしまった。
光は更に目を輝かせると、慎の手を握った。
「慎さん、もっと地獄について教えて下さいっ!」
先程の怯えていた姿は何処へやら、今では別人の様になっている。
慎はそんな様子を見ながら、「若いとはいいのぉ」と、思っていた。