コメディ・ライト小説(新)

Re: ハッピーバイバイバレンタイン ( No.6 )
日時: 2022/02/14 23:17
名前: 永久 知音 (ID: hDVRZYXV)

 テルは、新幹線の中で、扉が閉まる間際に聞いた、黄色い声援と、一人の親友の力強い別れの言葉を思い出していた。

 今にも溢れ出してしまいそうな熱情を、親友がくれたクッキーとともに喉に押し込む。

 ふと、紙袋の一番上に置かれた黒い布の包みに目を向ける。

「結局、持ってきちゃったな」

 自分の爪が入った包み。あまりにも印象的な親友からの餞別せんべつ

 いつの間にか、布をめくり、中身をもう一度眺めていた。

 ……。
 ……。

 テルはかすかに微笑む。また、爪を見る。
 テルは小さく笑う。包みをそっと閉じる。

「これじゃ、……捨てられねーじゃねーか」

 優しく、握りしめる包みにあったのは、

 十一本の爪。