コメディ・ライト小説(新)

Re: 不運の最弱勇者 ( No.19 )
日時: 2022/07/01 15:15
名前: 名のない初心者作家 (ID: bSLQhqZo)

祝賀会にて‥‥俺たちは歓待を受けていた。
「おお、あなたさまがあのライデルを討伐したパーティのリーダーですか。なんとたくましい。」
「いえいえ。私たちなんてまだまだですよ。これからもやっていかなくては。」
「なんと心強いお言葉。期待してますよ。」
誰だあれ。あんな丁寧な言葉遣いのロイ、見たことねぇ。
また別の場所では‥‥
「おお、あなたさまがリン殿ですか。なんでもあなたの支援が無ければパーティは壊滅していたとのこと。いやはや、なんと言っていいやら。」
「そ、そんなこと‥‥あるかなぁ?アハハ。」
リンが天狗になり‥‥
「これはこれはフィオ殿。この度はおめでとうございます。なんでも幹部討伐を機に出世されたそうで。」
「これはかの有名なアンダイン家のご子息様ではないですか。どうも、ありがとうございます。」
「戦いの様子を聞かせてくれませんか?」
「わかりました。」
フィオは他の貴族に囲まれていた。
その一方で俺は‥‥
「あれがパーティの中で唯一ライデルに倒された‥‥」
「ああ、あの最弱職のくせにイキってやられた‥‥」
「本当に情け無い‥‥」
‥‥ひどくね?たしかに唯一やられたのはそうだけどさ。俺がいなかったらパーティ壊滅だったかもしれないかもしれないんだよ?幹部疑惑から逃れたら今度はこんなかよ。ついてねぇなぁ。
でも少しくらい言い返しても‥‥
「なぁ、俺は殿として援軍を呼ぶ時間を稼いでたんだ。イキって前に出た訳でもねぇし最弱職って言っても俺はもうジョブチェンジできるぜ?今の戦い方がラクだから冒険者だけどよ。」
「‥‥あれが負け犬の言い訳よ。」
「‥‥哀れな。」
「おい!功労者にそりゃねぇだろ!お前らも‥‥」
何か言ってやれと言おうとしたら‥‥
絶句した。俺の仲間は‥‥
「是非我が国の直属の冒険者になられては?その方が生活が安定しますし。」
勧誘されていた。‥‥何も言い返せねー。クソだな。
「高い攻撃力を誇るフィオ殿に支援、回復が得意なリン殿、それを守るロイ殿。パーティバランスもいいではないですか。どうですか?」
おっと、俺の名前がないんですが‥‥。流石にあいつらも‥‥
「いいわね。この後の活動資金も安定するし‥‥」
「次を倒したら出世に屋敷に名声に‥‥」
「もしかして、俺モテてる?」
‥‥あいつら。欲に目が眩んでやがる。俺の名前がないことに気づいてねぇのか?
「‥‥仲間にも見捨てられたわ。」
「‥‥かわいそうに。」
‥‥‥‥‥‥いいよ、もう俺一人で幹部を倒してやる。こんなクソなヤツらも絶句するくらいにな。
‥‥‥‥‥‥仲間?知るかそんなもん。あいつらは俺より報酬の方が大事なんだ。いいじゃねぇか。生活安定するんだろ?ほっとけ!
俺は静かに踵を返して‥‥
「そういえばヒロはどこよ?」
「そういえばさっきから見ねえな。」
「じきに帰ってくるわよ。どうせトイレよトイレ。」
「‥‥逃げ帰ったわ。」
「‥‥ほっとこう。」
そんなヤツらの声を背に会場を後にした。