コメディ・ライト小説(新)

Re: 色褪せた僕は、 ( No.13 )
日時: 2022/08/19 17:01
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

4話 文化祭(前編)

気付けば既に月は変わり、9月になってしまった。9月には、この峯が丘高校最大行事の星峯祭せいほうさいが行われる。
「花山、それもうちょい右!」
「はい!」
なぜか俺と夢野が玄関の装飾を手伝っている。本来は3年生の本部会の仕事だが、人手が足りなく手伝うことになった。
「いやー、夢野さんたちに頼んで良かった~」
「いえ、このぐらい」
こいつ、俺以外の前では猫被りやがって。
「うし、残りもあと少し。怪我せずにさっさと終わらせて帰るぞ!」
これがフラグだと誰が思うだろうか。先輩だし、フラグ建てるとか思わないじゃん。

ーー数分後
「最後に横断幕だ。片方は俺がやるから、もう片方は花山が止めてくれ」
「分かりました」
脚立に乗ろうとすると、夢野が寄ってきた。
「怖いなら、私がやっても良いんだよ?」
めっちゃニヤニヤしてるし。
「へー。でも俺178cmで結構ギリギリなのに、夢野なんか150無いから無理じゃない?」
「うっさいな!152だわ!」
どのみち届かないとか言いそうになったが、言ったらキレられそうなので、そのまま脚立に上った。
「ーーうし、終わったぁぁ!」
1時間半格闘した末、ついに作業は終止符を打たれた。
ま、フラグが折れてくれてないってことは?
「お、おい大丈夫か?めっちゃグラグラしてるぞ!?」
「大丈...ぶぅぅぅ!!??」
鈍い音が鳴ったあと、脚立が倒れる音が鳴った。
「大丈夫!?」
一番早く駆けつけたのは、夢野だった。相当焦っている。涙目だし。
「大丈夫...いっ!?」
右腕を支えにして起き上がろうとしたら、激痛が走った。
「その腕...!?」
肘から下が紫色に腫れ上がり、曲がっちゃいけない方に曲がっていた。さらに頭も触ると、血が出ていた。
「しかも右じゃないか!」
男子の先輩は、心配の声をあげるが、問題はない。
「俺、利き手左なんで...」
「とにかく、救急車を呼んでくれ!」
この日、人生で2回目の救急車を体験した。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.14 )
日時: 2022/08/19 17:43
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「うぅ...グスッ...」
俺は今、とんでもないほどの罪悪感に駆られている。ことの発端は数分前...。
~回想~
「緊急手術したから、形は元に戻ったけど、しばらくはリハビリだからね。それと結構亀裂が入ってるから、肘が治ってもギプスだからね」
割りとヤバい診断結果だった。

「なんだ、待っててくれたのか」
病室に行ったら、夢野が待っててくれてる。

「はな"や"ま"ぁぁぁ!」
大泣きしながら抱きついてくる。

そして現在。
「なぁ、別に1日入院すれば良いんだからさ。泣くなよ」
「なんで...」
「え?」
「なんで責めないの!?私のせいで花山が怪我したのに!?」
「ちょ、ここ病院d」
遮られてしまった。
「答えてよ...」
「...そうだな、俺の中学の友達の生きざまかな。...うし、お前が気になってた俺の過去を話すよ」

Re: 色褪せた僕は、 ( No.15 )
日時: 2022/08/19 20:49
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

それから俺は、英治が殺されたことや俺がいじめられて高校で地元を離れたことを話した。
それから、少しの沈黙があったあと夢野が口を開いた。
「...私、花山がそんな目に遭っていたなんて知らなかった。だから、お詫びになんでもさせて」
ん?なんでもするって言ったよね?っといけない、欲望が前に出すぎた。
「そうだなー...。」
いざ言われると、何も無い。
「なんでもいいの!」
「じゃあーー」

「ーー何でハグしてるの?」
「んーと、抱き心地良さそうだったから」
嘘だけど。
「...嘘でしょ?」
バレたし。
「...夢野も、色々抱え込んでるんだろ?だったら、強がらないで全部出しちゃえよ。俺が受け止めてやる」
何となく、気づいていた。夢野の手が震えてるのは転校してきた頃から。
少しすると、夢野の手が背中に回ってきた。泣き声こそ聞こえないが、時折小刻みに体が震えたり、嗚咽が聞こえたりした。
俺は左腕で、夢野の頭を撫でた。鼻腔をさす甘い洗髪料で思考さえも奪われそうだった。
「夢野、もう大丈夫だから。」
彼女はすでに眠りに落ちていた。
「おやすみ」
今日は星が綺麗だった。

4話の前編終了です。
僕もこんな彼女欲しいです。