コメディ・ライト小説(新)

Re: 色褪せた僕は、 ( No.16 )
日時: 2022/08/20 17:16
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

4話 文化祭(中編)

「おぉ、叶望。おはようってどうしたその腕!?」
朝、教室に入ると早々に迅が大声をあげた。
「まぁ、ちょっとだけ...骨折」
「全然ちょっとじゃないぞ!」
「利き手じゃないから」
とはいったものの、普通に骨折以外にも肘動かないし。結構大怪我だ。
「あんま無理すんなよ」

Re: 色褪せた僕は、 ( No.17 )
日時: 2022/08/20 16:40
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

やはり持つべきものは友達だ。心配してくるのは嬉しい。
しみじみとそんなことを思ってると、夢野が入ってきた。
「おはよう、叶望」
「おはよう」
俺のことを下の名前で呼ぶようになっていた。嬉しいんだか、よく分からないが親睦は深められたのだろう。
「...なんかお前ら仲良くなってないか?」
「ん、まぁそうかな」
確かに、俺を邪険に扱わなくなったが、病院での一件ですとか言えるわけがない。
「そう言えば、今日は前夜祭じゃないか?」
そうだった、完全に忘れていた。
「たーのもー!」
うるさいやつが来た。たーのもーって、アホなんあいつ。
「はぁ...。」
「え?なんで天使の夕姫ちゃんが来たのにため息ついてるの?」
「お前がうるさいからだよ。あと天使とか自称すんな」
このド天然がうるさいのはいつものこととして、用件は一体何なのだ。
「それはねぇ、のぞみんの介抱しに来たのだ!」
「お帰りはあちらでーす」
「なんで、ねぇなんで!?」
揺らすな、首がもげる。
「だってろくなことされないじゃん」
こいつの介抱とか絶対にいやだ。怪我悪化しそうで怖い。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.18 )
日時: 2022/08/20 17:15
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「ぶー、けちー」
けちー、じゃねぇよ。俺まだ死にたくないんでね。
「のぞみんの[ピーー]は[ピーー]で[バキュン]」
「やめろばかぁぁぁ!!」
やれやれだぜ、下ネタ言うのやめてもらっていいすか。
人々の視線が刺さる。ヒソヒソすんな、ちげーから。全部でたらめだから。
「とにかく帰ってくれ。じゃあまたお昼な」

ーー
「叶望くん、持つよ」
「ありがとう」
前日準備で模擬店の装飾を担当することになった。本当は厨房を任されていたが、この腕では無理だろう。
それに、色んな人が手伝ってくれるお陰で、このあとの花火に間に合いそうだ。というか、めっちゃ時間余る。
「よし、終わったぁぁ!」
結構疲れたが、そんなのはどうだっていい。
「こんちはー、のぞみん」
「ん、どうした夕姫」
危うく声を出してしまいそうだった。音もなく近づいて来るんだもん。
「ちょっと2人で」
そう言われて、外に出た。
日は傾き、鮮やかな朱色に染まっていた。
「これ見て」
スマホのディスプレイには、『殺人容疑で男2人を逮捕』の文字。
そして、『牧野英治さん』と書かれていた。
「この人たち、牧野くんを殺した犯人」
「捕まった、のか...。良かっ...た」
俺の名前を呼ぶ夕姫の声が遠のいていく。
そして、意識を手放した。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.19 )
日時: 2022/08/20 22:27
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「んぅ...」
目が覚めると、ベッドの上にいた。そして、一瞬でここがどこか分かった。
「保健室、か」
「すぅ...すぅ...」
隣には、静かに寝息をたてながら寝ている夕姫がいた。
外は、花火が上がっており、保健室からも見えていた。
「夕姫、ありがとう」
俺は寝ている夕姫の頭を撫でた。
「すぅ...んぅ、のぞみん...すぅ」
いつもより夜が綺麗に思えた。

4話中編終了です。
青春したい人生でした。
ちなみに僕も指を骨折したことありましたが、みんなから笑われました。

追記:100回閲覧ありがとなす!
   たくさんの方に見ていただき、感無量でございます。
   これからも応援よろしくお願いします!