コメディ・ライト小説(新)

Re: 色褪せた僕は、 ( No.7 )
日時: 2022/08/15 19:03
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

2話 言いたくない過去

それは、中学3年の2月。
俺はいたって普通の私立中に通う学生だった。
「なぁ叶望、一緒に帰ろうぜ。」
「あぁ」
可もなく不可もない平凡な生活だった。
だから、今思い返しても視界は鮮やかだったと思う。
受験も友達と前期で合格していたので、勝ち組の方だったと思う。それは夕姫も同じだった。あのとき自分が、絶望の淵に立たせられるとは思わなかったから。
「なぁ、兄ちゃんたちお金持ってない?」
帰宅途中、チンピラどもに絡まれてしまった。
すると、友達が果敢に果敢に言い返した。
「すんません、俺たち急いでるんで」
「おいおい待てよ。まさかとは思うけどさぁ、持ってないわけないよねぇ!?」
友達は後ろへ吹き飛んだ。何があったか理解できなかったが、殴られたと確信した。
それだけでは終わらず、チンピラは馬乗りになって顔面を殴り続けた。何度も、何度も。
それから友達が動かなくなった頃、チンピラは刃物を取り出した。体が動かない、ここで戦慄していたって何にもならない。分かっているのに動かない。
「これで死んじゃうねぇ!!」
友達へ刃物が勢いよく下ろされる。何度も、何度も。肉を突き刺す嫌な音と、目の前に広がる鮮血。友達は抵抗することができなかった。
俺のなかで、何かが千切れる音がした。
「くそったれがぁぁぁ!!!」
力の限り叫んで殴った。もう1人が襲いかかって来るが、俺は肘で殴った。
そして血のついた刃物を突き刺そうとした。
「ーーのぞみん!!」
我に帰った。
幼馴染みで親友の夕姫の声がしたから。
「もう、もうやめて!」
そのあと、俺たちは病院へ運ばれた。チンピラは逃げていったが。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.8 )
日時: 2022/08/15 19:57
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

俺は肘にヒビが入っただけだったが、友達は亡くなった。
出血と損傷が酷く、病院に運ばれたときはすでに息は無かった。
俺のトラウマの元凶だ。
けれど、俺への攻撃は止まらない。
「あんたのせいで彼氏がケガしたんだけど」
いじめっ子集団のリーダー格である女子は、どうやらチンピラと付き合っているようだった。
「ちょっとやめろよ、花山だって何か理由があったんだ」
最初は反発してくる人はいたが、いじめっ子集団に抑えられてしまい、俺の味方は夕姫だけとなった。
「このままじゃ、死ぬのはのぞみんなんだよ!?」
「お前を巻き込むわけにはいかない」
必死に悩んだ、最終的になるべく遠くの高校に行くことを決めた。
「でも2人でって訳にもいかないよ」
「郁さんがいる」
郁さんに頼み込んだ。すると、あっさり了承してくれた。
「小さい頃からの付き合いの子達のお願いを断るわけにはいかないよ。お父さんにも言ってみる」
郁さんのお父さんは北見グループという大手会社の社長で、郁さんは社長令嬢で次期社長。
「いいって。家も用意してあるってさ」
やはり、この人はとんでもない人だ。
でも、俺は郁さんと夕姫には頭が上がらない。

2話終了です。夏休みがもう少しで終わってしまいますが、僕は暇なのでこうやって執筆活動ができちゃうんですねぇ