コメディ・ライト小説(新)

Re: 色褪せた僕は、 ( No.9 )
日時: 2022/08/15 22:13
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

3話 風邪をひいた男

「38.6℃。こりゃかなりの高熱だね」
最悪だ。健康的な生活を継続できていたはずなのに...。
「まぁ、キミの場合はお腹出してソファで寝たからだろうね」
「うっ...返す言葉もございません...ゲホッ」
ということで、郁さんに看病してもらうことにした。
「何かあったら言ってよ?」
「はい...」
ガチャンという音を最後に、俺の部屋は静寂に包まれた。
「ダルい...ゲホッゲホッ」
ちなみに夕姫は友達の家に遊びに行っているらしい。何かメモ用紙置いてあったし。
『友達の家に遊びに行ってきます。のぞみん、百合な私と友達を想像して気長に待っててくれたまえ』
なに言ってんだろ。将来が心配だよ。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.10 )
日時: 2022/08/17 07:57
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「ふわぁ~...」
考えてる間に眠くなってしまった。
「...んぅ」
深い眠りへと落ちていった。

目が覚めると、見知らぬ窓の無い真っ白な空間に居た。
「......っ...!(何で声が出ないんだ!?体も動かないし!)」
自分の体がベッドに拘束されたまま動かないようだった。実際は拘束されてないけど。
確信した。金縛りだって。擬似的に夢で金縛りに遭うとかいう経験は来世まで良いと思った。
「叶望、一緒に帰ろうぜ」
「!(何で、英治が...?)」
牧野英治まきのえいじ、かつて俺の目の前で刺し殺された友達。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.11 )
日時: 2022/08/18 17:57
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「叶望、一緒に帰ろうぜ。叶望、一緒に帰ろうぜ。叶望、一緒に帰ろうぜ。」
不気味なことに、ずっと同じことを繰り返している。
「(一体、なにが...)」
刹那、腹部に焼かれるような痛みが走った。
痛い。その感覚が脳を支配した。
「叶望、一緒に帰ろうぜ」
「ーーハッ!?」
目を覚ますと、すでに日が傾き始めていた。
額には大粒の汗がついていた。
「叶望、入るよーって、すごい汗。どうしたの?」
「い、いえ...魘されていただけです」
言えるはずがない、夢に英治が出てきたなんて。
「そっか。はい、体温計」
俺は受けっとった体温計を脇の下に入れた。数秒後、ピピピッという音が鳴った。
「36.9℃、平熱だね」
熱は下がりきって、倦怠感もなくなっていた。

Re: 色褪せた僕は、 ( No.12 )
日時: 2022/08/19 16:18
名前: たまはる (ID: tEZxFcMB)

「たっだいまー!」
「夕姫が帰ってきたみたいだね。じゃあ私は退散ー」
郁さんが部屋を出ていったあと、すぐに夕姫がやってきた。
「のぞみんが風邪ひくなんて珍しいね」
「色々あったんだよ」
夢のことを話そうか迷った。でも、話さなきゃ俺はその内壊れてしまうかもしれない。
だから、夕姫には全部話した。
「そんなことが...。」
「どうしたらいいのか...今更、あいつに合わせる顔もないのに...」
「のぞみんは、叶望は自分を卑下しすぎだよ」
そんなことを言う彼女はどこか寂しげだった。

3話終了です。
夏休みが終わってしまい、余韻に浸ることすら許されないなんて、学校は鬼畜です。
皆さんはどうですか?