コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.10 )
日時: 2022/08/29 22:53
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第八話「My Hero」


「ほ、補習!?」
「俺たちが!?」

彼ら、もとい湊と千歳だが。前回のテストで赤点を回避はできたものの、補習は回避できなかった。
まあ、単位が足りていなかったのだが。
「ま、まあ大丈夫ですって。すぐ終わりますよ」
「そうだよ!あ、もうこんな時間。帰ろう、星奈ちゃん。」
「そうですね。さようなら」

全く世の中とは無慈悲なものだ。頭の良い者が、最終的には得をする。
そして、彼女たちは意中の人と一緒に帰れないことを、ただ声に、態度に出さないようにしていた。
「四人で帰れないのは残念だったね。(ああ!何で私ったら千歳くんと一緒に帰れるチャンスだったのに!)」
「そうですね。(湊さんと帰れないなんてもどかしすぎます!)」
やはり、二人の彼らへの思いは強いようだ。

「お嬢ちゃんたち、かわいいね。俺たちと遊ばない?」
よりにもよって、学校からも家からも遠い場所。人の気配はない。
「すいません、急いでいるので」
それで割りきれるほど、単純ではなかった。

「おい。てめえら俺たちから逃げられると思うな?分かったら大人しく言うことを聞け」
いくらなんでも、少女の力でもの巨漢たちがどうにかできるはずがない。
すると、巨漢の一人が星奈の顔を強引に自分の方へ向ける。

「かわいい顔してんじゃねえか。食べちゃいたいね」
「いや...助けて、湊さん...!」
「こっちもなかなかいいな。」
「や、やめ...助けて千歳くん...」

何の抵抗もしない。できない。
ただ、祈ることしか。
「星奈から...」
「凪咲から...」
「「手を離せ!!」」
わずかな希望が届いた。少女たちはそう思った。
そこには、ものすごい剣幕で怒る湊と千歳だった。

「へっ、ガキじゃねえか。ナメやがって!」
湊に、巨漢の拳が迫る。当たらない。当たるはずがない。
彼に通用するはずがない。
「お前らなんかに、星奈を渡すか!」
湊の右拳が、巨漢のこめかみに当たる。
そのまま体制を崩し、倒れる。

「そんなひょろひょろが、俺たちに敵うわけねぇぇぇだろぉぉ!?」
「っ...!(右に来る...!)」
この男の直感を侮ってはいけない。
千歳は、拳を受け流すとそのまま股間を蹴りあげる。
「あぎっ!?」
相当な痛みだろう、悶絶したまま立ち上がることはなかった。

「さて、まだやるか?」
「ちっ、おぼえてろよぉぉ!!??」
「アニメかよ...。覚えてるわけねーだろ。」
少女たちは泣いた。声を上げて。

「湊さぁぁぁん!!!」
「うおわあ!?星奈、分かったから!離れてくれ!」
「ち、千歳ぐぅぅぅぅん"!」
「...怖かったな」

この一件で、彼女たちのヒーローとなった彼らへの好意はもっと強くなったのは、言うまでもないだろう。


改名しました。たまはる→ぷれ