コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.16 )
日時: 2022/08/31 20:40
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

【夏の特別編】第14話「後日談は二人だけ」

私、星奈は今とても後悔している。
「なんて、大胆なことを...」
湊くんに、接吻をしてしまったのだから。
きっと、気が狂っていただけ。そう、私の思考がおかしかっただけ...。

「~!!!」
やっぱダメ!鮮明に覚えているし、唇も覚えている。
「星奈、遊びにきたよ?」
「っ!?うん、今行く!」
なんてタイミングが悪いのだろう。忘れていた、湊くんが家に遊びにくることを。
「お邪魔しまーす...」
「じゃあ、私の部屋で待ってて」

私は部屋から出た。
「~~~!!」
ヤバい、本当にヤバい。恥ずかしくて死にそう。
私は深呼吸をして、飲み物を持って部屋に入った。
「お待たせ」
「え?あ、いやそんなことないよ」
向こうも恥ずかしいんだ。何だか、そっぽ向いてる湊くん、可愛い。
それでも、会話は続かず、ついには沈黙が生まれた。
気まずい、非常に気まずい。

「あのさ、星奈。その、昨日のことーー」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
あ、叫んじゃった。私としたことが、取り乱してしまった。
「星奈、落ち着いて!」
ぎゅっ、と湊くんは私を包み込んだ。微かに香る、柔軟剤に混じった太陽のような匂いが、私の思考を落ち着かせる。
それから、私の頭を撫でた。優しく。
「星奈、大丈夫だから。きっと、俺とお前は同じ気持ちだから」
「っ!?湊くん、もしかして恥ずかしいの?」
体をビクッと震わせて、またしてもそっぽ向いてしまった。

「う、うるさいなあ!しょうがないだろ、好きな人と同じ空間にいるんだから」
好きな人。私を、好きな人と認識してくれている。
どこまでも、優しくて、真面目で、素直で、ドジだけど...。私は、カッコよくて、自分の利益なんて考えずにこなしてしまう、そんな彼が大好きだ。
「...星奈、きちんと言わせてくれ」
私は覚悟を決めた。
「俺は、お前を幸せにしたい。どんなときだって、俺はお前を幸せにできるなら、それでいい。星奈、俺とーー」
「待って!私は湊くんと付き合いたい。一緒に、湊くんと同じ道を歩きたい!」

言い切った。私の全てを、彼にぶつけた。
「グスッ...俺なんかでいいのなら、よろこんで!」
彼は泣いて笑っていた。私もつられて泣いた。
それで、彼の胸に飛び込む。冷たくて気持ちいい彼の手のひらが、私の頭を撫でる。

もう、私は頑張らなくていいんだ。足りないところは、私がカバーする。でも、それじゃあ頑張らなきゃだよね。
私、もう少し頑張って、そのあとは湊くんに甘えよう。