コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.20 )
日時: 2022/09/02 17:48
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第18話「照れ隠しですか?」

「全くもう、何ですぐに人に言おうとするの」
「反省してます...」

俺、湊。星奈に説教されている。
まあ、理由はさっきのアルト本人に言おうとしたことだが。

「まあ、反省してるなら良いけど。とにかく、最終的にはあの二人で成就させなきゃいけないから、気を付けてね?」
「はい...」

___翌日

「おはよう、アルト」
「おはよう」

アルトが人気な理由がよく分かる。
あいさつをすれば笑顔で返してくれる。
「湊、昨日は四人で何の話をしてたの?」
「それは___」
刹那、星奈の言葉が脳裏をよぎる。
「こ、今度の休日どこ行こうかって話...」

あっぶねー。言いそうになった...。自重しよ。
とにかく今は、アルトの意中が誰かを突き止めなくては。
「なあアルト、お前好きな人とかいんの?」
クラスが静まり返った。
「ちょっと、ここでは...」
再び、騒がしくなる。こっわ。

「ここならいいかな」
そう言い、アルトと俺は屋上に来た。
「オレの好きな人は___」
好きな人は?
「美央なんだ」
「よしっ!」
「!?」
あ、やべ。つい心の声が。
しかしこれで相思相愛ということが分かった。

「どうして好きなんだ?やっぱり美人だからか?」
「確かに魅力的な容姿だけど、内面に惹かれたんだ」
内面、か。確かに汚いところがないという感じだが。
「オレ、美央の分け隔てなく接するところがいいなって思って。実は、彼女の真似をしているんだ」
「そんなに好きなら告ればいいのに」
「...そんな勇気、オレにはないよ。それに、美央に相応しい男なのかなって思って不安なんだ。変に意識しちゃって目も合わせられないし」

まさか、こんなに人気のあるアルトにもこんな悩みを抱えているとは。
「なあ、アルト。もし、もしもだぞ?もし、美央がお前のこと好きって言ったら、お前はどうする?」
アルトは一瞬だけ目を見開いたが、すぐに笑って答えた。
「オレは、こんなにも嬉しいことはないって泣くよ」
「それだけ、人を大切にできるってことだよな。羨ましいよ、お前みたいな優しい人が」
こんなにも、心の優しいアルトだからきっといい彼氏になるに違いない。

「湊くん、それはちょっと分かりやすすぎだと思うんだけど...」
「そうだぞ。怪しまれたら元も小もないんだぞ」
「そういう天然なところもかわいくて好きだけどね」
「星奈だけが味方だよ」
「まあ、ちゃんと反省してね」
やっぱり、説教されることには代わりはなかった。