コメディ・ライト小説(新)
- Re: 始発線は終点をしらない ( No.22 )
- 日時: 2022/09/03 17:14
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
第22話「強引な決意表明」
「なあアルト、ちょっといいか?」
「?いいけど...」
オレはアルト。なぜか、湊に呼び出され屋上に連れていかれた。
屋上に着くと、湊はモジモジし始めた。
「えと~、お前って美央のこと好きなんだろ?」
「え?ああ、そうだけど」
湊の言いたいことが分からない。美央に関することなのだろうか。
「お前が美央に告白しないか?」
「は?」
「美央のやつがお前が好きかどうか分からなくて怖いと思うけど、自分の気持ちを伝えなきゃ」
「でも、そんなに上手くいくかな...」
すると湊は真剣な顔になった。
「いくに決まってるさ!だって美央も...」
なぜか湊の顔が青ざめた。
「ん?なんだよ」
「いや~、美央も真剣に考えてくれるかもって...」
「?まあよく分かんないけど、ありがとう。勇気が出たよ」
なんだか終始青ざめた顔をしていたが、なにかいけないこどでもあるのだろうか。
教室に戻ると、ドアの前に美央が立っていた。
「あ!ア、アアアアアアアルトくん!よ、よければ放課後どこかいかない!?」
「え?ああ、良いけど...?」
すると、連絡先の書いてある紙をオレに渡して、ものすごいスピードで帰っていった。
実は、意識してきちんと目を見れなかった。
____放課後
「おお、お待たせ」
「いや、そんなことないよ。じゃ、行こっか」
ヤバい。平静を装っているが、かなりヤバい。心臓が張り裂けそうだ。
「いらっしゃいませ~」
オレたちは、喫茶店に入った。
「お二人はカップルさまですか?今、カップルだと割引をしているんです」
「カ、カップルぅ!?」
「は、はい!そうです」
「かしこまりました。では、空いてる席へお掛けください」
勢いに流されるがまま、席へ座った。
さっきのことのせいで、さらに意識してしまった。もはや、脈アリなのではと思っている自分が居る。
「じゃあ、私はカフェオレで」
「アイスコーヒーを」
「かしこまりました。少々お待ちください」
コーヒーは美味しかった。が、時折オレを見てくるので中々キツかった。
「おいおいあんたら、お熱いねぇ」
「何の用ですか?」
かなりの力がありそうな男が話しかけてきた。
「悪ィけどよォ~、俺はあんたらみたいな奴らが嫌いなんだよ!」
大きく腕を振りかぶる。
「まずは女ァ!」
その拳の行き先は、美央だった。
美央は動けない、ならばここでオレが守らなきゃ。
「ぐっ!」
「アルトくん!?」
オレは美央を庇った。抱き締めて、全ての打撃はオレの背中に当たる。
「おお、カッコいいねぇ。だけどよ、いつまでもつかな!」
さらに打撃は強くなる。でも、美央は離さない。
「もうやめて!これじゃあ、アルトくんが死んじゃうよ!」
「良いさ...!たまには男を魅せなきゃな...!」
「クソッ、しぶてえガキだ」
「おい、お前なにやってんだ」
その声をきっかけに打撃は止んだ。後ろを振り向くと、警察官が立っていた。
「ち、ちげえよ!別にこいつを殴ったりなんか...」
「はい連行~。君たち怪我はないかい?」
「アルトくんが...!血が出てる!」
「君、大丈夫か?」
意識が朦朧としてくる。声は遠のいて、次第に目も閉じてきた。
「良かった...怪我が、無くて...」
男を魅せたかいがあった。好きな子を守れて。
安堵して、少しの間眠りについた。