コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.24 )
日時: 2022/09/04 13:36
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第24話「ファースト」

あの事故のあと、無事に退院することができ、美央と付き合うことになった。
望んだ結果といえばそうだけど、やっぱりまだ実感が湧かない。

「アルトくん、美央だよ」
「うん!今行くよ!」
今日は、美央がうちに遊びにくる。というか、来たのほうが正しいか。
ドアを開けると、私服姿の美央が笑顔で立っていた。
「どう、かな?」
「可愛いよ!(すごく似合ってるよ)」
「か、かわ...!?」
つい本音が出てしまった。
美央が赤面して、自分のしてしまったことの重大さに気付く。

「ここが、アルトくんの部屋...」
「そ、そんなにジロジロ見られると...」
そんなのお構いなしに、見渡すのを止めようとしない。
「取り敢えず座ってて。俺、飲み物持ってくるよ。お茶で良い?」
「ありがとう。アルトくんが持ってきてくれるならなんでも良いよ?」
クソッ。何て可愛いんだ。
必死に昂る感情を抑えながら、再び部屋に戻った。

「お待たせ」
「ひゃっ!?...あ、ありがとう!」
何か様子がおかしい。
「どうしたの?様子が変だけど」
「べ、別になにもないよ!?別に、アルトくんの昔の写真なんて...( ゚д゚)ハッ!」
なるほど。完全に理解した。
それにしても、俺の昔の写真なんか見てどうするのだろう。
「俺の写真をどうするの?」
「い、いやその...。可愛いと思って見てました!別にやましいことなんかなにも!」

「プッ...別に良いよ。俺の写真なんか、減るものじゃないんだし」
間違ってない。好きな人に過去を知ってもらえるなら、別に。
俺は、引き出しからアルバムを取り出した。
「わっ...!アルトくんはなんでこんなに可愛かったの...今はすごいカッコいい」
美央はめちゃくちゃ感慨深そうにアルバムを見つめる。
なんだか恥ずかしくなってきてしまった。

「ふぅ...お腹いっぱい...。アルトくんが昔はあんなに可愛かったなんて」
「あはは...昔は童顔とか言われていじられてたけど」
「なんで?私は好きだけどな、今も昔も」

嬉しい。けど、なんだか複雑な気持ちだ。
「...ねぇアルトくん」
「ん?...んむっ!?」
顔を向けた瞬間、白い二本の腕に引っ張られた。そして、そのままキス。
唇に柔らかい、瑞々しい感触が脳を蝕む。微かに、さっきの紅茶の味もする。

「ぷはぁ!...どうだった?私のファーストキス」
「な、ななな...!」
あまりの衝撃に言葉を失ってしまった。