コメディ・ライト小説(新)
- Re: 始発線は終点をしらない ( No.26 )
- 日時: 2022/09/05 18:14
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
第26話「僕たちのトリプルデート」
俺はアルト。
トリプルデートの幕が開き、俺たちは出発した。
正直、ノープランである。
「どこ行こっか~」
「ノープランなのか...」
千歳が放った呆れ顔は、冗談とかそういうレベルではない。今までに見たことの無い、本気の顔だ。
「しっかし、ノープランとはな~...アルト、どっか良い場所ない?」
「え、俺!?う~ん...あっ、そうだ!」
もう、ここに賭けるしかない。
「ここって...」
「プラネタリウム?」
そう、プラネタリウムだ。ここのプラネタリウムは親戚が経営していて、たまたま近所にあったため良かった。
すると、奥から親戚が出てきた。
「あれ、アルトじゃん。久しぶり。あ、もしかしてトリプルデート?」
「お久しぶりです。ええ、まぁ...そんなところです」
「「「「「初めまして」」」」」
「うん、初めまして。あ、そうだ。私からのサービスで、入場料無料。じゃ、行ってきな」
これは計算外。
まさかタダにしてくれるとは、これは良かった。
『こちらは、冬に北に見えるオオグマ座です』
「綺麗...」
プラネタリウムはやはり良かった。みんなに気に入ってもらえたみたいだ。
「なあ星奈、北斗七星って?」
「北斗七星ってのは、オオグマ座の尻尾の部分の星が連なってるところだね。一番明るく見えるのは、北極星っていうの」
流石は学年成績トップ、博識だな。
まあ、星のことはあまり詳しいとは言えないが、綺麗な物に代わりはない。
「いやー、綺麗だったなー」
「そうだな。何だか心が洗われた気がするよ」
「ありがとうございました。本当にタダで良いんですか?」
「良いって。経営に支障は出ないよ。...彼女さんとはどこまで?」
「ど、どこまでって...キ、キスは」
そのあと、色んな場所を周り、気付けば日が朱色に染まりだしていた。
「今日は楽しかったな、また今度どっか行こ!」
「湊くんにはその前にテストで赤点回避しなきゃね」
「...はい」
何だかんだ、俺は楽しかった。
「アルトくん」
「ん?うおあ!?」
美央が抱きついてきた。
甘い匂いと、柔らかい感触が不埒な気持ちを掻き立てる。が、何とか男としての威厳でなんとかなった。
「アルトくん、今度は二人で」
「ああ、分かってる」
俺たちと太陽だけが、このやり取りを知っている。