コメディ・ライト小説(新)
- Re: 始発線は終点をしらない ( No.30 )
- 日時: 2022/09/06 19:30
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
第30話「渚と海鳥」
俺は千歳だ。いつも通り授業を受けてきた。
現在は休み時間。
「呉信、ちょっと良いか?」
「?はい...」
先生に呼び出され、生徒指導室に連れていかれた。
何か、問題でも起こしただろうか。
「呉信お前、この写真について何か知っているか?」
「...!?」
その写真に写っていたのは、俺が女子生徒にわいせつな行為をしているような写真だ。
そんなことは身に覚えがない。悪質な嫌がらせだろう、で割りきろうとした。
「いえ、俺は分からないです」
「そうか、そうだよな。お前がこんなことするわけ無いもんな。呼び出して悪かったな」
結局、その日は解放されてそのまま凪咲と帰宅した。
その日の帰り道、凪咲は不思議なことを言い出した。
「千歳くん。千歳くんはその、セクハラとかってしたことある?」
「いきなり何のことを訊いてくるんだ...。全く無いが」
「そっか、そうだよね。」
大体、何を言いたいのか分かった。写真の件だ。すでに学校内で拡散されたのだろう。
別に、誰かが仕込んだわけの分からない嫌がらせだろう。
その日は特に何事もなく帰宅できた。
問題は次の日だった。
「なんだよ、これ...?」
非常に酷い有り様だった。机には、死ねなどの罵倒する単語や文章。クラスメイトたちは冷たい視線で、俺を睨んでいた。
何もしていないし、気にしないで過ごそうと思った。
それが間違いだとは思ってもみなかったが。
「なあ呉信。なんで学校きてんの?邪魔だから、とっとと失せろ。セクハラ魔」
「はあ...大体、セクハラしたっていう証拠はあの写真だけじゃ分からない。もっと他に無いのか?」
「は?自分のやったこと否定してんじゃねえよカス。てめえみたいなゴミは、取り除かないとなぁ!?」
蹴られる。殴られる。全ての攻撃は予測済みだが、今ここで抵抗すれば後々面倒なことになる。
クラスメイトは、笑いながらその様子を見ている。
何で、こんな情報に流されてしまうのだろうか。
「もうやめて!」
「うぅ...ゲホッ!なぎ、さ...?」
凪咲。なぜここに来たのか、こいつまで巻き込むわけにはいかないのに。
「ああ?凪咲か。こいつ、セクハラ魔だから近づかねえ方が良いよ?」
「そんな確証、どこにあるっていうの?」
やめてくれ。凪咲は無関係だ。
「はあ...これだから困るんだよなぁ。依存しちまった女を落とすのはよぉ!?」
何もできない自分に不甲斐なさを感じた。