コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.31 )
日時: 2022/09/06 19:58
名前: らる@羅瑠 (ID: GDWSGe53)

第31話「庇ってくれて」


「はぁ!?ふざけないでよ!証拠を見せなさいよ。証拠をっ!」
「は?あの先生の写真が証拠。あれ、どうみても呉信だろうがぁ!」

俺は千歳‥今、大乱闘が起きている。
凪咲と、俺のクラスメイト。俺がセクハラした‥と疑いをかけられている。

「あれが証拠?もしかしたら、その写真を撮ったやつが加工したのかもよ?顔がそっくりだって人もいるし!」
「顔がそっくりね~ そんなやつ学校に居る分けねぇじゃねえか!じゃあ、そいつ連れて来い!」

何もできない俺の代わりに、凪咲は怒鳴りたてている。
無力な自分を、嫌いに思えてきた。


「お前ら、何してるんだよ!」
「やめなさいよ!うるさいわ!」
「何があったんだよ!静かにしろ」

湊、美央、アルトの3人が来た。
人気者のアルト、清楚系の美少女として有名な美央にたじろいでしまうクラスメイト。
湊は‥無視されている。

「‥もしかして、あの写真のことか?」
「あの写真、バカバカしすぎ」
「写真加工もできるしな」

口々にいう3人に、少し引いている様子だ。

「そうよ。3人の言う通り!アンタたちの意見は何よ!」
「は?それで信じられるわけないじゃないか」

やはり、いくら人気者が2人いるとはいえ、クラスメイトたちは引いていない。
ちなみに、凪咲も友好関係が広く、音楽の天才として知られているので人気者は3人だ。

「そうか‥そりゃあ、信じられないだろうな」
落ち着いた声で、湊がそう言った。

「ただなぁ!こっちには切り札があるんだよ」
「なんだよ、切り札って。最強の男や女でもいるのか?」

クラスメイトは、口々に文句を言っている。

「みんな静かに。あの天才様が来ますよ?」
「天才にかかれば、お前らは玩具おもちゃだ」

悪魔の笑みを浮かべながら、ニヤリと笑う顔で言う美央とアルト。
俺は、もしかして‥と思った。本当は3人ではなく「4人」来るはず。

「おい、切り札ってもしかして‥!」
そう言う俺に、3人はうなずく。


「あなたたち、今ここで何をしてたんでしょうねぇ?」

悪女の笑みを浮かべて話しかけてきたのは、あの勉強も運動もできるまさに天才の
「北条星奈」だった。


「おお。天才!呉信がわいせつ行為をしてたから、俺らは怒鳴ってるんだよ!」
「‥バカか」
「だろう?呉信はバカだよな。天才も馬鹿だって認めたぞ!」

叫ぶクラスメイト達。

「お前ら、何勘違いしてるんだ?バカはお前らだよ」
「は‥‥?」
「証拠もないくせに千歳君を怒鳴って!自分が言われたら嫌だろうが!?人の気持ちも考えらないくずどもめ。
仮に、もしも千歳君がやってないとしたらだ。その後の罪は誰だ?お前らだろう?
後のことも考えてこそ、そうやって怒鳴ってるんだろうなぁ…!このバカが」

‥凪咲たちも、俺も、クラスメイトも、先生も。
あの清楚で優しくて美人で天才な完璧少女がああなっていることにビックリしている。

だが、湊はニヤリと笑みを浮かべている。どうやら知っているらしい

「北条さん。アナタのことは説得力がありましたね」
先生も、そう言っている。

「だから、アンタたちもいじめは辞めて。次やったら、退学と両親に報告するから」

先生にぴしゃりといわれて、たじろぐクラスメイト。
星奈のお陰で、その日は無事に終えた。




次の日‥
先生から、あの写真はクラスメイトが加工した。と報告をもらった。
なんでも、俺のことを恨んでいたらしい。
だけど‥自首してくれてよかったと思う。

そこから俺は、よりみんなから親しみを持たれて友達もとても増えた。

「良かったな。千歳」
「私は力になれた‥よね」
「私の彼氏に何してくれてるんだろ。あの人たちは」
「一件落着。みんなの活躍凄かったですね!」
「星奈がああなることは予想できなかった。そして、千歳も良かったな」

「ああ…みんなありがとうな」