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コメディ・ライト小説(新)
- Re: 始発線は終点をしらない ( No.54 )
- 日時: 2022/09/16 17:48
- 名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)
第54話「後夜祭の前に」
俺は蒼李。大波乱だった学園祭も終わりをむかえようとしていた。
「もう終わりか。何か切ないな」
「ああ、そうだな。そうだろ、アルト?」
「俺はアルト俺はアルト俺はアルト俺はアルト俺はアルト俺はアルト俺はアルト...」
「...切ないな」
「千歳、現実から目を逸らすな」
一体アルトの身に何があったのか、俺たちは知る由もなかった。
そんなことを考えてるうちに、アナウンスが流れた。
『2時間後に後夜祭を行います。予定はプログラムをご覧ください』
「2時間後か。だいぶ時間あるな」
「一回家に帰るか」
で、まあ家に帰ったんだけど。
「誰も居ねえ...」
よりにもよって、誰も居ないのである。
書き置きを見つけたが、何が書いてあるかは大体読めた。
「『旅行に行ってきます』ってまたかよ!」
このまま家に居ても、何もないので学校に戻ったのだが。
「こっちも居ねえ...」
俺だけである。
それもそのはず、まだ30分すら経っていないのだから。
「ただいま~、って蒼李くん!?」
「うわびっくりした!...って、奏か。まだ早いぞ」
「私は他の3人に先行っててって言われたんです。蒼李くんはどうして?」
「俺は家に帰ってもすることがなくてさ」
そうなんですね、とだけ言い俺の斜め前の席に座った。
沈黙。喋ることが何もない。
「あの、花火楽しみですね」
「そうだな」
「...」
太陽は傾き、俺たちの沈黙を嘲笑うかのように朱色に照らす。
刹那、がちゃりという音が聞こえた。
一瞬でそれの正体が分かった。
「鍵かけられた!?」
「誰か!誰か開けてください!!」
俺の呼び掛けに返事は返ってこない。
「私たち、このまま...」
「大丈夫だ、必ず脱出できるから」
ほんと最悪だ。
こういうとき、
一体どうすれば...。
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