コメディ・ライト小説(新)

Re: 始発線は終点をしらない ( No.56 )
日時: 2022/09/17 17:20
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第56話「花火よ恋を照らしてくれ」

俺は蒼李。果たして、この告白が鬼と出るか蛇と出るか。

「私は、私は蒼李くんと一緒に幸せになりたい!」
「...こんな俺でも___」
「こんな俺でもとか言わないで!私は蒼李くんと付き合いたいの!」

すると、ガチャリという音が鳴った。

『よく言った奏ちゃん!それじゃ、あとはお二人で~』

星奈と思われるアナウンスは、そこで途切れてしまった。
しかし、俺たちはこのあとどうすればいいのか。


『間もなく、花火の打ち上げが始まります』
「...だってさ。行こうか」
「そうですね」

結局、会話が起きずに花火が始まってしまった。

「花火、綺麗だな」
「そうですね...」

沈黙。会話なんて続かない。

「私、蒼李くんに告白されて嬉しかった」
「...」
「転校して、蒼李くんに傘を貸してもらったときから好きになった」
「...そんなこともあったな」


時は遡り1か月前。

「ええ...雨なんて聞いてないのに」
「...あ。君、もしかして傘ないの?」
「え?はい、そうですけど...」
「じゃあこれ使って。じゃ!」

そのまま俺は走って帰った。
その日、風邪をひいてしまったがあのときは、ちょっとした出来心からの行為だった。


「だから、蒼李くんには感謝してもしきれません」
「俺が善かれと思ったからやったまでだよ」
「それでもです」

また沈黙。その間に花火は、どんどん上がっていく。

「蒼李くん」
「ん」

刹那、俺は一体何をされたのだろうか。脳の理解が追い付かずに、時間が止まったようだった。