コメディ・ライト小説(新)

Re: シナノファンファーレ! ( No.3 )
日時: 2022/09/08 21:03
名前: ぷれ (ID: tEZxFcMB)

第1話「初めまして僕の高校ライフ」

誰しもが憧れを抱くであろう高校。青春を謳歌し、恋愛を謳歌し、華やかな学校生活を夢見る中学生は数知れず居るだろう。
しかし、例外は居た。
「...なんでだろ」
藤原咲乃は違う。こんな高校、俺は求めてないと言わんばかりの顔である。
ここは玉城西高校。長野県内では、それなりに偏差値の高い学校だ。
別に、この学校を受験しなかったわけではない。ただ、咲乃は吹奏楽から逃げようとしてこの学校に入学したのだ。
吹奏楽部に勧誘されてしまった。咲乃は断れない性格のため、見学に行くことになった。
そして音楽室前。
「もうやらないって決めてたのに...」
「決まってしまったものは仕方ないしね~」
「そうですね...って、うわっ!?」
声の主のほうを振り返ると、セミロングの茶色がかったスタイル抜群の女子が居た。
制服のネクタイが赤ということは、2年生だろうか。
「私は北見ゆい。オーボエ担当の2年生。初めましてだね、藤原咲乃くん」
「なんで俺の名前を...!?」
「藤原咲乃くん15歳。1年3組。中学は青樹第二中、吹奏楽部出身。担当楽器はテナーサックスで、ソロコンでは全国金賞。君、結構有名人だよ?」
間違いはない。全て、咲乃の経歴だ。
「その通り、です。」
「でしょ!?いやー、私もソロコン出てたんだけどさ、銀賞どまrいててててて!」
「なにやってんのゆい。新入生の経歴言ってさ!」
「あ、亜希先輩!?いやー、ちょっと吹奏楽部のPRしてただけ...」
「全部聞こえてんのにまだ言うか!」
そのまま北見先輩は、黒髪ショートの先輩に連れていかれた。
「へ...?」
あまりに一瞬のできごとだったので、理解が追い付かなかった。

ーー
「本日は、部活動見学に吹奏楽部を選んでいただき、ありがとうございます。部長の柴波亜希です」
驚いた。まさか、あの北見先輩を連行した人が部長だったとは。
「副部長の桐山甘那です。それでは、新入生に送る曲を演奏させていただきます。プロヴァンスの風です」
プロヴァンスの風は、課題曲にも使用されたことのある高難易度の曲だ。つまりは、上手いということ。
副部長が、2拍を振ると楽器の音が響いた。
「...え?」
思っていたのとは違った。
もっとクラリネットのメロディが、綺麗な感じで聴こえると思っていたのに。リードミスの回数は多く、低音はテンポを引っ張り、パーカッションはバラバラ。こんなので良いのだろうか。
「ねえ、ちょっとこれヤバくない?あっ!私、井出葵。ユーフォやってたの」
「お、おう。俺は藤原咲乃。テナーやってた。結構、というか大分ヤバい」
「だよね。私もプロヴァンスやったことあるけど、ここまでじゃないよ」
流石にここまでのプロヴァンスは聴いたことがない。
「ありがとうございました。今から楽器体験になるので、気になる楽器のところへ行ってください」
不意に、コンクールの写真が目に入った。
「...銅賞」
そこには、東信地区大会銅賞の文字があった。
咲乃は、見ているうちに申し訳ない気持ちになり、楽器体験に逃げた。

ーー
「えっと、サックスの体験を...」
「おお!私は瀬黒かなみです!アルトサックスはこちら!」
「バカ。なにやってんだかなみ。すいません、妹が。僕は瀬黒奏太って言います」
「藤原咲乃、です」
かなり積極的で、及び腰になってしまった。
まあ、アルトならと思い、体験をした。
「...ブランクがあっても吹けるもんなのか」
「すごい綺麗...」
そして、彼は調子に乗ってしまった。
宝島の後半サックスソロをかましてしまった。
「...あ、フラジオ当たんなかったか」
「すごい...」
結局、彼は調子に乗った挙げ句失敗して帰っていった。

1話終了です。
フラジオはギリギリなんとかラまでは当たります