コメディ・ライト小説(新)
- Re: ファイティン・ラブ!〜彼氏は推しでした〜 ( No.1 )
- 日時: 2022/11/22 06:50
- 名前: ほのみん (ID: EabzOxcq)
(第一話)
ジリリリリ。
目覚ましの音で目覚めた私がまず最初に見るのは、政宗様のポスター。
「仁にすぐれば弱くなる・・・」
政宗様の五常訓をすべて唱えると、制服に着替えて、部屋を飛び出す。
やばっ、こんな時間!
弁当を慌てて作り、朝ごはん用のおにぎりを鞄に入れ、家を出る。
自己紹介遅れました。
私は柴田美織。
高2。
どこにでもいる普通の高校生。
伊達政宗が推し。
電車の中でおにぎりをさっと食べ、学校へ。
私は特進クラスなんだ。
えっへん。
星川学園高校っていう、偏差値77の私立高校に通ってる。
教室の窓側の一番うしろ。
これが私の席。
一つだけ飛び出してて、隣がいない。
だから、何か気が楽。
なはずなんだけど・・・。
隣の席ができてる!?
転入生ってこと?
なんか・・・残念。
朝のホームルームも終わりってところで、ついに転入生登場。
定番のパターンですね。
右目に眼帯してる。
伊達政宗様と同じだ。
かなりのイケメン。
転入生は、ホワイトボードに“伊達政宗”ときれいな字で書いた。
は!?
呆れた。
こいつ、政宗様のこと、馬鹿にしてるのか。
こてんぱんにやっつけないと。
転入生は一通り自己紹介を終えると、私の隣の席に座った。
まさか、本当に“伊達政宗”?
判断するには政宗様と同じ料理や茶道が好きな文化人という情報が必要。
にしても、戦国武将と同じ名前だっていうのに、みんな冷静だなぁ。
「あ・・・よろしくね?」
「よろしく」
「一応学級委員長なので、何かあったら頼ってください」
「そうなの!?学級委員長にしてはかなりひっそりしてない?」
「私からなりたくてなったんじゃないんです。推薦ですよ」
「大変だね」
「柴田さーん、ちょっといい?」
先生に呼び出しくらった。
面倒くさ。
「柴田さん、隣の席だし伊達くんに色々教えてあげてくれるかな?」
「分かりました・・・」
転入生のお世話なんてしたことないし・・・
目立たずひっそり暮らしてきた私にはハードル高い気がする。
でも・・・
なんか、伊達くんのことちょっと気になる。
学級委員長という立場上、私がしっかりしないと。
伊達くんだって、きっと不安なはずだから。
まずは、一、ニ時間目の家庭科。
今日は調理実習。
料理はいつもしてるからできるけど・・・
実は、裁縫が苦手。
まあ、今日は調理実習だ。
気楽に行こう。
家庭科の班は席が近くの人と同じ班になる。
だから、伊達くんとも同じ班。
あれ、これって伊達くんのこと知る大チャンスじゃん。
料理が得意なら、戦国武将の伊達政宗の特徴とも一致するかも。
「あれ、柴田さん、家庭科室ってどこ?」
伊達くんに話しかけられ、はっとする。
そうだ、案内してあげなきゃ。
「転入の手続きしたときに思ったんだけどさ、この学校って広いよね」
この学校は私立だし、設備も最新。
確かに納得。
いよいよ、調理実習の時間!
「今日は自分で好きな料理やスイーツを作ってくださいねー」
「はーい」
私が今日作るのは、フルーツ入りのサンドイッチ。
私の得意料理の一つ。
まずは、サンドイッチ用のパンを、半分にカット。
フルーツをバットの上に出して・・・
サンドイッチ用のパンの上に生クリームをたっぷり広げる。
生クリー厶大好きなんだ~♪
そしたら、今度はフルーツをたっぷりのせる。
のせ過ぎには注意。
そしたら上から、パンを乗せて、お皿に並べる。
あっという間に完成!
レッツ試食♪
もぐもぐ。
ん~、おいしい!
最高!
家庭科の調理実習は好きなんだ。
だって、自分の好きな料理を食べられるんだもん。
そうだ、政宗くんはどんな料理作ったのかな?
隣を見ると、えっ、餃子?
私も餃子にすればよかった。
政宗くん料理上手いなぁ。
これって、戦国武将の伊達政宗の特徴と一致する!?
三、四時間目の授業も「滞りなく」終えた私は、お弁当を食べようと陽花ちゃんと杏ちゃんと屋上へ。
周りはビルもあって、結構都会な景色。
私が前住んでいたのは、宮城だけど、宮城とはまた全然違う感じ。
私はこの景色が好きだ。
昼食を食べながら話していると、話題は、政宗くんのことに。
「今日転入生来たじゃん」
と話し始めたのは陽花ちゃん。
「あの伊達政宗って名前気になるよね~」
「謙信様だったら良かったのに」
と杏ちゃんはなんだかガッカリしているみたい。
「でも、何だかんだで一番苦労してるのはみーちゃんでしょ」
と陽花ちゃん。
「伊達くんのお世話も、過去のこともねえ・・・」
「でも、結果的に今は楽しくやれてるからいいじゃん!」
ため息をつく杏ちゃんを励ました。
私たちは、中学校からの友達。
何でも、打ち解けられる気がする。
私の過去のことっていうのは・・・
まあ、色々と。
五、六時間目も終了。
今日は私が入っている茶道部の活動日ではない。
そのまま帰ろうかと思ったけど・・・
伊達くんに声をかけられ、ふと思い出した。
部活動の紹介してあげるんだった!
「まずはスポーツ系から行きましょう」
スポーツ系だけでもたくさん。
野球、バレー、バスケ、剣道、陸上、弓道、卓球、水泳、テニス、バトミントン。
体育館はいくつかあって、とても広い。
朝礼の時はいちばん広い第1体育館を使うんだ。
「なんか色々あるんだね」
政宗くんは興味津々。
「スポーツ系はみんな練習が厳しいですね。私は運動音痴だからやめました」
「なるほどねー」
次は文化系。
吹奏楽、新聞、合唱、手芸、料理、書道、茶道、囲碁、軽音楽。
スポーツ系よりは少ないけど、たくさん。
私が茶道部を選んだのは、もちろん推しが理由!
伊達政宗(戦国武将の方)は茶道が得意だったんだって。
私の推しの俳優さんがやっているのも見て、やりたくなったんだ。
お菓子も食べれるし楽しい♪
何より、週2回の活動だから勉強に専念できる。
最後は同好会。
部員が8人以下だと同好会。
同好会は結構あって、鉄道研究、ドラマ研究、映画、英語とか。
大体の部活を見終わった。
「いっぱいあるんだねー、迷うなぁ」
「活動時間が少ない部活だと勉強に専念できるので、難関大学も目指せると思います」
「ところで柴田さんはどこの大学目指してるの?」
「親からは東京大学をはじめとした国立難関大学に行くように言われてます」
「東大ねー」
「伊達くんはどこ行くんですか?」
「まだ決めてないなー、まだこっちに来てから慣れてないし、大学のこととかわかんないんだよなぁ」
「横浜は面白いですよ!みなとみらいに遊びに行けば一日中遊べます!あ、伊達くんはどこから引っ越してきたんですか?」
「東北。宮城なんだ」
宮城・・・?
伊達政宗は東北(山形・秋田)の出身。
あの有名な像があるのは、仙台城だから宮城。
私も宮城出身なんだ。
小さいころから伊達政宗が好きで、よく仙台城跡にある像を見に行ってたなぁ。
「私も宮城出身です!同じですね」
「そうなんだ。いつ引っ越してきたの?」
「中一の時です。最初は宮城と景色が違いすぎてびっくりしちゃいました」
「確かに結構違うよね」
そろそろ帰ろうってことで、購買部でパンを買って帰ることにした。
「すごいいっぱいあるね」
「私はいつもカレーパンを買って帰ります」
「さすが私立」
「そうですか?公立でもありそうですけど」
「俺が前通ってたところはあんまりなかったなぁ」
「そうだ、伊達くんはどこに住んでるんですか?」
「学校から2駅先のタワーマンション」
「そうなんですね」
学校の最寄り駅は横浜なので、横浜から電車に乗る。
なんと、伊達くんと同じ方向だった。
しかも、駅も同じ!
偶然だなぁ。
「そうだ、今日お世話になったから家まで送ってくよ」
「大丈夫ですよ!当たり前のことですし」
「いいよいいよ」
「伊達くん家の方向どっちですか?」
「こっちかな」
私の家の方向と同じなので、送ってもらうことにした。
「伊達くんの家、どのマンションですか」
「あのマンションかな」
なんと、伊達くんが指さしたマンションは私が住んでいるマンションだった。
「えっ、ちょっと待ってください」
「どうした?」
「私もあそこのマンションです」
「えっ!」
「すごい偶然ですね」
2人揃ってマンションに入り、エレベーターに乗り込む。
私が住んでいるのは三階なので、【3】のボタンを押そうとした────が、そのボタンは既に押されていた。
エレベーターに乗っているのは私と伊達くんだけなので、伊達君が押したということになる。
「もしかして、住んでる階も同じですか?」
「三階に住んでるけど・・・同じ?」
「私も三階に住んでます」
「めっちゃ偶然じゃん」
同じ駅で降りて、同じマンションで、ましてや同じ階なんて偶然すぎる。
エレベーターは三階につき、私たちは降りた。
カバンの中から鍵を取り出し、私の住んでいる306号室の鍵を開けた。
伊達くんも、隣の部屋の鍵を開けたのでまたびっくりしてしまった。
「まさか、お隣さんですか?」
「307号室に住んでるけど・・・いとこがみんな集まって住んでるから引っ越してきたんだ」
「すごいですね」
「そうだ、お隣さんにお菓子持ってこうと思ってたんだよね。今持ってくる!どうせなら入って待ってて」
と伊達くんに言われたので、お邪魔することにした。
なんだか申し訳ない。
「座って待ってて~」
「お、お邪魔します・・・」
伊達くんの家は和室を居間代わりに使っているらしい。
「あれ~伊達、転校早々、彼女出来たの~?」
とのんびりした口調で白いパーカーのフードを被った男子が現れた。
「そんなわけないでしょ。伊達に彼女ができるなんて」
ともう1人ジャージ姿の男子が現れる。
「あ、お邪魔してます・・・なんだかすみません」
「あ、伊達の彼女じゃないよね?」
と先ほどのジャージ姿の男子に聞かれたので、
「学級委員長やってます。伊達くんとは同じクラスです」
とちゃんと答えておいた。
変な話になると困る。
それにしても、この人達が伊達くんのいとこ?
なんか個性的?な人だなぁ。
私の苦手なタイプかも・・・
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【あとがき】
皆さんこんにちは!
ほのみんです。
第1話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
美織ちゃんは伊達くんと仲良くなれるのでしょうか?
そして、あの男子達の正体は?
第2話では、美織ちゃんの秘められた過去も明らかに!
お楽しみに!
【次回予告】
伊達の同居人である個性的な男子たちが登場!
彼らの正体は?
「神童」というレッテルを貼られ、自身の運命に翻弄されながら生きてきた美織。
美織の秘められた過去とは__
大波乱の展開の第2話もお楽しみに!