コメディ・ライト小説(新)
- Re: ファイティン・ラブ!〜彼氏は推しでした〜 ( No.5 )
- 日時: 2022/11/04 15:15
- 名前: ほのみん (ID: 0sokIT7I)
【第二話(3)】
私は、夢と希望を持って来た。
この横浜という地に。
小学校を卒業し、春休み。
不動産会社で働いているお父さんの昇格に伴い、私達は横浜に引っ越すことになった。
新幹線と在来線を乗り継ぎ、横浜駅に到着。
そこからまた何駅か先に新居のタワーマンションがある。
私は春から横浜の中学に通うことになるのだ。
周りは都会でビルだらけ。
宮城と違いすぎて頭がおかしくなりそうだった。
同じ日本ですか?
新居のタワマンに到着すると、もう荷物が届いていた。
開けて、前の家と同じように伊達政宗のポスター(私がデジタルで書いた自信作)を壁に貼る。
なかなかいい感じ。
春休みは、色々な所を探検した。
近くのショッピングモールの雑貨屋さんや、ゲームセンター、洋服屋さん。
一日中見ていても飽きなくて、楽しめた。
横浜ってこんな面白いの!?
春休みが明け、入学式。
真新しい制服を身に、いざ出陣。
一学年が結構多いな〜。
その後、説明を色々受けて帰宅。
席が近かった咲坂杏ちゃんって子と、熊野陽花ちゃんって子と仲良くなった。
意外と楽しい中学校生活になりそう_______その期待は突如、裏切られた。
私が通っている中学は校則が緩く、スマホが休み時間に使える。
その電話は休み時間になるのを見計らったようにかかってきた。
画面には“お父さん”とある。
なんでこんな時間にかけてきたんだろう?
「もしもし、美織?今、大変なことになってな・・・お母さんが交通事故にあったらしいんだ」
「え!?」
私は頭が真っ白になった。
「お父さんの会社は東京だから病院に行くまで時間がかかる。お父さんも向かうが多分美織たちのほうが速く着くだろうから」
「どこの病院?」
「横浜スマイルホスピタルらしい。沙絵は大人が迎えに行かないと学校から出れないからこっちでなんとかする」
横浜スマイルホスピタル?
え?
それどこ?
スマホで調べる。
隣の駅で降りてすぐにあるみたい。
先生に伝えて、校舎を飛び出した。
電車に乗って隣の駅へ向かう。
4分ほどで到着し、私は改札を出た。
周りをキョロキョロ。
あ、あれかな。
建物が見えたのでそっちの方角へ歩く。
病院の入口が見えたので入ってみる。
「あの・・・すみません・・・」
受付に声をかけると、
「はい!何でしょう?」
と元気な看護師さんらしき人の声。
「さっき交通事故で運ばれてきた患者いませんか?」
「今ねー、その交通事故の患者で手一杯で・・お名前教えてくれる?」
「柴田です」
「柴田さんね!4階の410号室だよ」
「ありがとうございます」
エレベーターで上がり、目的の410号室へ向かう。
「あ、お母さん!」
良かった。
大丈夫そう。
「心配したよ〜」
「ごめんごめん」
私はベッド横の椅子に腰掛けた。
続いて沙絵たちも到着し、みんなでホッとしたはずだった______が、その夜、お母さんの容態が急変。
死を悟ったのか、お母さんは私に言葉を遺した。
「美織ちゃんは、高校は星川に行きなさい····あ、特進クラスね···大学は国立大学かな···」
「え?お母さん?」
「お母さん、スマホにいつもなんかあったときのために遺書書いてるから···それも読んで」
私はショックを受けた。
なんで、学歴まで指定してくるの?
それも死ぬ前に。
ひどいよ、そんなの。
その夜、お母さんは亡くなった。
スマホの遺書は見る気にもならなかった。
葬儀なども一通り笑ってやり過ごした。
忙しいお父さんに代わって、私が家事をするようにもなった。
そこから気分が落ち込みがちになった。
不登校にもなってしまい、家で勉強するようになった。
ひきこもりにもなりかけそうだった。
お父さんは、学校に行きなさいとも言わなかった。
それが救いだった。
でも、気分は良くなる気配もなかった。
心配したお父さんが精神科病院に連れて行ってくれた。
私は「うつ病」と診断を受けた。
そして1ヶ月後、今度は記憶喪失みたいになった。
ショックのせいで、新しい記憶をとどめておけなくなったのだ。
だから、朝起きたら急に日付が飛んでるってわけ。
その日の出来事も日記に記しておくようになった。
今までの記憶はあったし、中学の勉強は一通り済ませてあったから、不幸中の幸いというのか・・・・うーん。
なんか違うな。
何回か精神科に通って、もう一つ救いだったことがある。
ある日、私は担当の先生だった若い男の先生に、こう聞いたことがあるらしい。
「先生、私はなんで・・・ずっと立ち直れないんでしょうか?」
「え?」
「あ、いや、やっぱなんでもないです」
「心が悲鳴を上げているんですよ」
「え?」
「だから、心が悲鳴を上げているんです。無理し過ぎなんですよ。自分の気持ちに正直になってください」
その言葉は自分の心に語りかけているようで、胸に刺さった______そう、書いてあった。
中2の秋、私は記憶を留めて置けるようになった。
受験に間に合った____そう思ったのもつかの間、学校に関して知らないことばかりだということに気づいた。
クラスも知らない。
今、何を勉強しているかも。
そして仲良くなった子_____杏ちゃんと、陽花ちゃんのクラスだって知らない。
何回か家に来てくれたことはあるけど、クラスは言ってなかったのかな。
日記にも書いてなかった。
久しぶりに学校に行くと、全然別世界に見えた。
クラスメイトの視線が冷たく感じて、居心地が悪かった。
それから私は決めた。
“必要最低限の友達は作る。でも、雑草のようにひっそりと生きる”
それが私のモットーになった。
中3になり、受験の志望校を決めることになった。
私は、本当は、東京中央学院高校に行きたかった。
偏差値は星川と同じぐらい。
だけど、諦めた。
お母さんの遺言に逆らう勇気が出なかった。
そして、満点合格。
特進クラスに入ったので、色々費用が免除された。
特進クラスは、一般クラスとは違ってグループ関係とかごちゃごちゃしたのがあまりない。
たしかに、仲のいい友達はいる。
だけど、スクールカーストとかなかったから楽だった。
それから雑草のように生きるって所は変わってないけど、毎日が充実してるってわけ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
さあ、この重大な秘密がバレないようにどう話すか。
考えろ、美織。
ひらめいた!
ってことで話そうとしたとき、先に話したのは伊達くんの方だった。
「あ、変なこと聞いちゃった?」
「いえ、いえ、そんなことは····!!」
「そういえば、柴田さんって神童って呼ばれてたんだっけ?」
「え?」
「あと、中1から中2の記憶がないとか」
え?
なんで伊達くんは_______この人は、私の秘密を知っているの?
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
(あとがき)
皆さん、こーんにーちはー!(少々ハイテンションになっております)
ほのみんです。
私には伊達くんが謎に包まれた存在に見えます・・・((ん?
第二話は三回に分けて書いてみました。
推しがいる人なら美織ちゃんの気持ち、分かってくれるかな?
次回もお楽しみに!
(あらすじ)
伊達が美織の秘密を知っていた!?
“秘密”を通して波乱の展開に!
またまた大波乱の第三話もお楽しみに!