コメディ・ライト小説(新)
- Re: 恋愛裁判同好会、判決しますっ! ( No.1 ) ( No.1 )
- 日時: 2022/10/22 15:31
- 名前: ぷちとまと。 (ID: rdX62NDu)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
⚠注意⚠
1話はだいぶ長くなってしまったので忙しい人は見ないでね><(目次性にした意味とは?)
「よし、準備できたわね。」
お姫様のような口ぶりの子は、紛れもない大金持ちだ。この同好会は、彼女という存在で成り立っているーーー。
ペンキで看板を塗るって、なかなか難しい。私は手が何色かわからなくなったとき、そう心の中で叫んだ。
「ねぇ、ほんとにやんの?」
「ほんとよ。」
「マジで?」
「マジマジ」
あぁ、ループになるな。そう思い、諦めた。だがそもそも、ペンキで手が汚れたのも、ループになるなと思ってあきらめたのも、彼女のせいだと伺える。そう、彼女の名は華。名前通り、赤いバラをそのまま人にしたような子だ。お金持ちで、次期社長に自らがやりたいといった、彼女だから。私は瑠璃。弁護士担当だ。そう、この同好会は裁判をする。ただ、普通の裁判ではない。「恋愛」の裁判だ。きっかけは、華が「あたしはいろんな人の目があるから、恋愛っていう恋愛してないの。一度でもいいから恋バナしてみたいわ。」という一言ではじまったのがきっかけである。ただ、メンバーは全員恋愛というのには程遠い人物たちだ。何が起こるかは知ったこっちゃない。でも、深いため息をついたところで、ただただ華に「そんなため息つかないで、さっさと人を集めましょ。」といわれるだけであるのだった・・・。
🍀💌
「よし、お願い箱つけられたわね。」
華がそういう。ていうか、もう一人のメンバーはどこ行った?って話なんだけど。もう一人のメンバー、諒は無口で、ただただひたすらに参考書を読んでいる、いわゆる「ガリ勉」である。音を鳴らすのは、参考書のページだけ。なんか、本当にメンバー希望の時、「やってみようと思ったから、やる。」といった人物なのだろうか。よくわからない。ただ、本当に諒のことを考えただけでなにか得するわけでもないから、どうでもいい。それより、通称「お願い箱」は相談したいときに椅子の上にある紙に相談事を書いて、お願い箱に入れるとお願い完了。必要であれば裁判をするのだ。
「明日になったら、また見てみましょ。」
そういう華は、なにかと自信に満ちた顔でいた。
🍀💌
「そ、そんな引っ張らないでよ、華。」
「いや!あったのよ!!はやくはやくっ!」
眠いのに引っ張られ、お願い箱から一枚だけあった紙を取り出した。
「あら、陰キャの結花さんからよ。」
さらりと失礼なことを言う華は、手紙呼んで不意に爆笑した。
「なにこれ!!!おもしろ!!あるわけないじゃん、そんなこと!!」
「そんなに、面白かったですかね・・・。」
見ると、同好会のドアの前に、結花さんがいた。
「ごめんね。結花さん。せっかくお願い箱に入れてもらったのに。」
「いえ、いいんです。私こういうの慣れてるんで。」
ショートヘアーの髪がさらりと揺れる。大人っぽいな、結花さん。すごい。
「ま、まあ、いいわ。ここ座って。」
まだ笑いをこらえきれないように我慢しながら、華が椅子をひいた。
「ありがとうございます。えっと、手紙の通り、私は誰かに目を付けられている気がするんです。」
「要するに、ストーカーみたいなことなの?」
「そうです。怖くて怖くて。でも、この同好会を見て決めたんです。私、ここに相談したら解決してもらえるかもって。そう思って、来たんです。」
華のことをちらりと見て、なんだか性格を判別するような目で睨んでいた。
すると華は気づいて、ムッとするようにプイッと横の方向を見た。
「そうなんだ。そういうの、怖いよね。わかった。頑張って調査してみるね。」
「あ、そのことなんですが。」
「どうしたの?」
「裁判でやってもらえませんか?」
途端、期限が少し悪そうだった華がキラキラした目で結花さんを見た。
「え!裁判でやってくれるの⁉ありがとありがとありがとー!!」
「え、あ、はい。べ、別に大丈夫ですけど。」
驚くような目で華を見下ろす。なんだかこの絵面、見たことあるようなないような。そんな気がした。
「じゃ、まずは証拠を探さないとダメね。」
「はい。お願いします。」
ガラガラ言って閉まったドアは、学校と同好会の教室を切り離したみたいに、静かになる。
「ちょっと、亮?はやくきなさいよ!」
「ちょ、ちょっと、亮じゃなくて諒ね。」
「どっちでもいいわよ!それより、はやく証拠を集めないと。」
「・・・・かない。」
「え、何?諒君。」
「俺は行かない・・・。知恵が必要な時・・・言ってくれ・・・」
諒の答え方はほとんど上の空だった。しかも、行くではなく、行かないと言った。
私たちは唖然と参考書を読んでは付箋を貼ってる、諒をみたのであったーー。
「もう!何なのよ、あいつ!!」
「ま、まぁまぁ。」
華をなだめながら調査するために廊下を歩く。でも、華の言ってることもわかる。あれはないんじゃないかなと思ってしまう。
「それより、調査でしょ?」
「そうだったわね!」
さっきと打って変わってキラキラな目をさらにキラッキラな目になった。
「よし、いくわよ!」
「うん。」
「あ、いたいた!結花さんよ!」
今から図書室に行くであろう結花さんが、すぐそこにいた。
「ほんとに、ストーカーなんているのかしら?」
確かに、今のところそういう人物が誰一人いない。次の日も、次の日も。来る日も来る日もずぅーっといなかった。
「もしかして、自作自演?」
「の可能性もあるわね。」
でも、結花さんがそういうことするような子だとは思わない。
「その可能性もあるが、もう一つの可能性もある。」
「え、何?諒君。」
「お前ら、見落としてる部分はないか?」
「ないわよ。」
「え、え~っとね、学校中全部見たし、大丈夫だと思うの。・・・あっ!」
「どうしたの?瑠璃。」
「放課後は?見てないよね?」
「そうだけど…それこそストーカーじゃない。」
「やるなら徹底的に、戦略的にだ。できないんじゃあお前らには無理だってことだ。」
「ああ、もう!わかったわよ。やってやろうじゃない。」
よかった、華がちゃんと受け入れた。私は一人ため息ついた。
🍀💌
「いたわ、結花さんよ。」
「静かにしてくれ。大事なところなんだ。」
「うるっさいわね。こなきゃよかったじゃない。」
「事件を解決するには大事なことだ。」
事件って言っちゃあ、あれなんだけど。結花さんは今習い事に行っているらしく、バックを肩にかけて歩いている。
「誰かいる?」
「ううん、いない。」
犬が走っている。誰かに会いに行くのだろうか。そう思いながらあとをつけていると、不意に結花さんがこっちを見た。そして、また前を向く。
「俺らに気付いたのか?」
「それかもしれないけど、違う可能性もあるわ。先を急ぎましょ。」
こういうとき、華は感が効く。私たちは華の言葉を信じて、先を進んだ。
🍀💌
「いないね。」
「ええ。やっぱり自作自演なのよ。」
「いや、整理しよう。まず、結花さんは、何て言っていた?」
「誰かに目を付けられている気がするって言ってた。」
「そして俺たちがつけているとき、だれか人はいたか?」
「いいえ、誰も。人はいなかったわ。確か犬ぐらいしかーーー。ッ!」
「え、犬がどうかしたの?華。」
「わかったわ!犬がずっと結花さんの目を付けたのよ!餌のやりすぎとかじゃないかしら!」
「い、犬?」
「そう、犬は賢いから、たくさん会う人だと、誰がだれかすぐわかる。だから、結花さんのこともよく知っていて、もしかしたら餌をくれるかもと思って、いつも会える時間---、つまり、この時間帯に来るんじゃないか?それで、ずっと追いかけている。」
「そういうことなんだ!」
全然、わからなかった。
「私が言おうとしたことを言わないでくれる?もう!あなたの呼び名は今日からバカ探偵よ!」
後日、結花さんに得意げにバカ探偵こと諒の推理を話し、さらにクラス中にこいつはバカ探偵よなどといって、クラス中から諒のあだ名、バカ探偵と言っている声が聞こえたのは、また別の話である。
2話に続く