コメディ・ライト小説(新)

Re: 多重の図書館 ( No.2 )
日時: 2023/01/03 18:54
名前: 日影@hikage (ID: viErlMEE)



 二🔷自己紹介
空気が重い。何か言わなければ。


「あの、私、神橋 八雲って言います。よろ…あっ中二です。大津町立神橋学校っていうところに通ってます」


「俺の苗字も学校も神橋学校なんだけれど。苗字と同じでいけるかなと思ったからなんだけれど」


「俺も」「わ、私も」「一緒じゃん」「なにこれ気持ち悪う。俺もなんだけど」
同じすぎて少し気持ち悪くなってきた。


「どういうことおかしいよハジマリさん呼ぼ、ハジマリさーん」
   しーん
「んな子供番組みたいに出てくるわけないだろ」


「そういえば、正午にはハジマリさんと会えるらしいよ。言ってたもん」
私の次に話してくれた人が言った。


息を飲み込む。
「自己紹介の続きだから一人ずついこう。僕の名前は神…ここは言わなくていいか。幸多だ。幸せが多いって書いて幸多。珍しいだろ。中二だ」
 えっ幸多聞いたことないよ。あとこういうこと言うのは何だけどイケメン。学校ではモテモテだろうな。まあタイプじゃないけれど


「私は木星。ち、中一です。あだ名は星、です」
 単純にかわいい。小柄でハジマリさんとは全然違うタイプ。


「僕は清作。中二。好きなことはゲーム。ゲームが目の前にあったら、一日で終わらす」
 出たあー。ゲームオタク。ずっとゲームしてそう。


「僕の名前は炎煉(えんれん)。中三だ。よろしく」
 なんか言うことなくね。言うとしたら天然っぽい。微妙に膨れていて、カッコつけてる感じ。


「僕は、水晶。中三。話変えてくれるといいな」
 えっまって、やばいやばい、あああああああ神様ありがとうーーーーーー。と、顔が真っ赤になる。


「どうかしたか?」
水晶君が話しかけてくれたやったー!


「だ、大丈夫です」
と返す。


「いいか、僕は烏賊葉(いかは)。中三」
 勝手な想像だけれど、将来ヤンキーとかになってやばそう。
 ここで幸多君が話す。


「この中でリーダー作らないか」
「それなら水晶君でよくない」
 清作君が言う。


「いいと思う」
「えええ、まいいけれど。えっと、まず状況を整理する。みんなの苗字と学校が同じでこの招待状で連れてこられた。この図書館は七角形で1000000000000000冊以上あって…」


と話していたところに烏賊葉が口をはさむ。
「こんなところにそんなにあるわけねーだろ」


 水晶君が話している最中に口をはさむとは許せん!


「たしかにここの高さはあっても六メートル、横幅も二メートル。さすがにそんなにないよな」


 幸多が言う。
「来年の八月一日に何が起こるのかが知りたいな」
その後、清作が
「この図書館の本を読んだら分かるんじゃない?」


「じゃあ時間が残ってる人はここで本を読むってことで」


 私はお母さんが帰ってくるのが午後六時だからまだまだ余裕ある。ここで本を読むとするか。私は本を読むのが好きだから意外といいかもしれない。


 着々と本を読む中、水晶君以外の男子は固まって話をしながら本を読んでいる(読んでる感じを出しているだけかもしれない)。

 水晶君は本を読むスピードが速そうでさすがと思う。

 一方で木星ちゃんは一人で寂しそうに他の人をきょろきょろ見ながら本を読んでいる。私は木星ちゃんの横で本を読む。


 だが今日は話すことができなかった。
 ゴーンゴーンと鐘が鳴る。五時の合図だ。


「もう帰る」
と言うと、水晶君が「気を付けて」と言ってくれた。こくんとうなずく。エレベーターに乗り自分の名前札を押す。ガシャンガシャンと動き出し、気が付いたら自分のベッドに横になっていた。


 これが中学への不登校の始まりとなった。