コメディ・ライト小説(新)
- Re: プラネット・ホットライン ( No.7 )
- 日時: 2023/01/01 17:30
- 名前: むう (ID: viErlMEE)
【劣等星】
※今回はヒメラギさんsideです
ヒメラギさんは女の子です。
「こちら優等星。ヒメラギです。そちらは?」
『こ………こちっ、こちら………』
「あれ、電波悪いかな。マスター、電波の確認をお願いします」
『いやあの……僕の声が小さいだけですので、すみません……』
「大きな声で話してもらえると嬉しいのですが」
『あの………す、すみません……。話すのが苦手で……あ、あのわだッッ』
「焦らなくて大丈夫ですよ。ゆっくり、深呼吸してください」
『……スゥ。ハァ。……だ、大丈夫です。よ、用件は……なんでしょうか』
「こちらは優等星。定期的にほかの星と交信してます。こちらは管制室。まあ、星の市役所みたいなところですね。私はヒメラギ。ほかの星との受信をするのが仕事。そちらはどんな星でしょうか」
『ひうっ、ぼ、僕……あの、ミクルっていいます……』
「ミクルさん? お仕事は何をされてるんですか?」
『そちらと同じで……カウンセラーっていいますか。なんか、その、兄がやってたので、必然的に自分も……あの、女の子みたいな名前ですけど……お、男で、その、こっちは……【劣等星】です』
「ミクルくんですね。よろしくお願いします」
『あ、はい……お願いします……。すみません新年一発目の交信が僕で……ほんと、すみません』
「(自己肯定感が低い子だな)い、いえ、全然。お構いなく」
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「【劣等星】は、どんな星ですか?」
『……自信が、ない人がその……大半です』
「自信がない?」
『星をおおう特殊な空気の成分で……やる気がそがれ……何をするにも億劫になって……自分にはなにもできない、そう考える人が自然と増える……そんな星です』
「(うちの星とは正反対だな)なるほど」
『ゆ、優等星のお話は、自然と入ってきます。……すごいなって、みんなのあこがれです。向こうに移りたいって考える人もいます……』
「それはやめた方がいいです。この星はお勧めしない。生きにくい星ですし」
『そそそ、そうですよね。そういうのも、よく聞きます……。でも、なぜかみんな、違う星に移りたがるんです……。向こうなら、上手く行くかもって、思うらしいですね。近く、住民移住計画も発表されるようで』
「(そりゃ、劣等感抱えたままだと苦しいよな……。私もできることなら違う星に行きたいし)」
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「ミクルくんはどこかに移る予定ですか?」
『……いえ、僕なんか、どこへ行っても足手まといになるだけです』
「そんなことないと思いますが。現に、こうして頑張って仕事をやってるし」
『そうでしょうか。……僕、なんか、ほんと……。達成感なんて感じたことないですよ』
「私もそうですよ。上には上がいることを毎日感じています。頑張ったつもりでも周りは自分以上に成果を出している。それが嫌になる日もあります」
『……僕も、なんでこんな仕事、続けてるんだろって、たまに考えます……』
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「オートー星という星を知っていますか?」
『オートー星?』
「まだ発展途上の星ですが、あの星は私らの星とは違うオーラがあります。カウンセラーの中に一人、ヤバい奴がいましてね」
『お、お知り合いですか?』
「知り合いと言うか、受信の相手がたまたまそいつでして、なんか向こうが私を気に入ったようで、休日毎日電話がかかってきますよ」
『……その方は、どんな方ですか?』
「頭のねじが外れまくっている、失礼極まりない、会話が全てどこかずれている、そういうやつです」
『……そ、そんな方で大丈夫なんですか?』
「あいつの失礼さは、ムカつくけどどこか救われます」
『……え?』
「あいつは失礼だけど、相手のことはちゃんと見ていると思います。ただ、他の奴より状況判断がちょっと遅れているだけです。」
『そ、そうなんですか。……気になりますね』
「移住するならあの星が一番いい。無駄に気負わず、リラックスできると思いますよ。まあちょっと、おかしいやつがたくさんいますが」
『なるほど……か、考えてみます。ありがとうございます……』
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『ヒメラギさんは、ど、どこかへ移ったり……されないんですか?』
「移りたいのは山々ですが、この星全てが悪いわけでもなさそうですので。それに仕事が溜まってます。新年あけたら仕事ざんまいになる」
『そうですか………』
「お気遣いいただきありがとうございます」
『あ、あの、ヒメラギさんっ』
「なんでしょう」
『あ、あの、僕……は、初めて人にお話、聞いてもらいました。そ、その……良ければ同じカウンセラーとして、と……」
「と?」
『ともだ……ともっ、ともだ……とっ、友達になっていただけませんか!?』
「……友達」
『と、友達が出来れば、僕、少しは……少しは変わるかも、しれない。少しは、変われるかも……話を聞いてくれるだけでいいです。それ以上はなにも……なにも望みません』
「友達ですか」
『……あああ、やっぱり無理ですよね。僕なんかが、そんな無責任なこと……すみません忘れて下さい申しわけないですちょっと樹海行ってきま』
「誰が友達にならないなんて言った? 勝手に自己完結しないでくれない?」
『え? ……い、いいんですか?』
「最近ではバディを組んでいる人も多いですよ。君と私、【優等星】と【劣等星】を足せば、プラマイゼロでいっちょ上がりじゃないですか」
『ぷ、プラマイゼロ……? いっちょ上がり……?』
「地球という国の言葉だそうです。良い言葉でしょ」
『……………………そ、そうですね』
「というわけで今年もよろしくお願いしますよ、ミクルくん。あ、連絡先交換します?」
『はひぃっ、よ、よろしくお願いします………』
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★あとがきもといキャラ紹介★
こんにちは、むうです。
『プラネット・ホットライン』閲覧ありがとうございます。
こちらは私が小学生の頃、友達と「宇宙人からの手紙」という設定で、宇宙人になりきってノートに手紙(仮)を書いていました。
それを数年ごしに物語にできるとは……すごいです。
相変わらず個性的な人が多いですがよろしくお願いします。
【プラネット・ホットライン の重要キャラクター】
●シツ・レイ
→『オートー星』のカウンセラー。七歳(?)。
丁寧な口調だが会話にやや難あり。
類は友を呼ぶ……のかどうかはわからんが、
対応相手もだいたいツッコミどころ満載の人が多い。
●ヒメラギさん
→『優等星』のカウンセラー。女の子。年齢不明。
めちゃくちゃ仕事が早い。頭もいい。多分一番常識人。
シツからの迷惑電話が毎日かかってくる。
●ミクルくん
→『劣等星』のカウンセラー。男の子。ヒメラギさんの友達
話すのが苦手で内向きな性格だが根はやさしい
シツと話すのが目標。
●田口兄弟
弟(中学生) 兄(高校生、異世界転移中)
シツからの電話を受け取った、悪運強すぎる日本人兄弟
ちなみに兄の今後は作者も不明。