コメディ・ライト小説(新)

Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.2 )
日時: 2023/01/02 02:00
名前: KAORI (ID: XWWipvtL)

.°*・.PAGE1.・*°.〜出会い〜




ーーーー朝の満員電車の中。
7両目のドア付近にいつも寄りかかって立っている‥‥同じ制服を着ている男子生徒。

その彼は、いつもスマホをいじりながらAirPodsを耳に付けて、音楽を聴いている。

その横顔がとても綺麗でーーー。
思わず毎朝、見惚れてしまう。


話したこともない人なのに。
なぜか‥胸の高鳴りが止まらなくて。
この時はこれを恋と呼んで良いのか分からなくて‥
ただ、単純に横顔が好きなだけだと‥そう思っていた。


ーーー「次は夕日が丘‥夕日が丘‥」


降りる駅のアナウンスが聞こえハッとする。
慌てて座席から立ち、ドアの前まで小走りになる。

電車のドアが開き‥ホームへ降りて階段へと向かっている時だった。

「‥わっ‥」

乗り換える人もいたりとホーム内はごった返しに人がいて。
先を急ぐ人ばかりが多いのもあり、
誰かに体を押されてバランスを崩して転びそうになる。

「ーーーあぶねっ‥」

不意にそんな声が聞こえて。
あたしの体は予想とは裏腹に誰かに支えられる。

後ろを振り返ると。

ーーー先程まで見惚れていた‥彼がいた。



「‥‥あ‥ありがとう、 ございます」

あたしは‥目を合わせられなくて。
彼から視線を逸らし、小声でお礼をボソッと言う。

「いいえ〜。怪我とかないですか?大丈夫?」

彼は心配そうにあたしの顔をのぞきこんで‥優しい言葉をかけてくれる。

「いえっ‥支えてくれたおかげで怪我とかはないですっ!」

そう返すと。彼は安心したような顔をする。

「そっか。‥それならよかった」

正面から‥こんなに間近で彼の顔を見たのも‥ましてや会話をして声を聞いたのもこれが初めてだった。

「ーーーてか、その制服‥俺と同じですよね?何年生ですか?」

気さくに彼は話題を振ってくれる。
笑った顔も‥ときめいてしまう自分がいる。

「えと‥1年、です」

緊張しているからか‥スムーズに言葉が出なくて。
会話が下手になる。
そんなあたしとは正反対に彼は表情ひとつ変えずに会話を続けてくれる。

「マジかっ!後輩じゃん」
「え?‥何年生ですか?」
「この春から2年だよ〜!‥俺、七瀬涙。よろしくな」


ーーー七瀬、 涙‥先輩。




「‥‥春原‥瑞稀、 です」



これが‥‥



あたしと‥ 涙先輩との出会いだったーーー。