コメディ・ライト小説(新)

Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.4 )
日時: 2023/03/30 23:44
名前: KAORI (ID: e1WTIp3A)

.°*・.PAGE3.・*°.〜見学〜





「何それ!めっちゃ運命じゃん〜」

お昼休み。
あたしは、毎日屋上で朱莉と綾人の3人でご飯を食べることが多い。

今朝の事を朱莉と綾人に話すと、目をキラキラさせながら朱莉がそんな事を口にしている。その隣で綾人はジトっとした目でお弁当を食べながら聞いている。

「そんな‥‥朱莉。運命って」
「運命だよ〜!だって、気になってたんでしょ〜?」
「まぁ‥確かにそれは否定できないけども」

ーーー毎朝‥見惚れてた事は事実だし。

すると、不意に口を閉じていた綾人の口が開く。

「ーーーそれで‥‥瑞稀はさ‥新聞部にその人がいるから入部するの?」

唐突な質問に。あたしは、一瞬固まってしまった。

「えっ‥まぁ、誘われたし見学は行こうかなって思うけど‥まだ入るかはちょっと分かんない、かな」
「‥‥ふーん」

ーーー気のせい、だろうか。

さっきから綾人が不機嫌な気がする。

「ーーー綾人。 なんか、怒ってる?」
「別に怒ってねぇよ。‥ただ、瑞稀が心配なだけ」
「え??」

言葉の意味が分からず、ぽかんとしていると。
横で朱莉がニヤニヤしながら口を開く。

「綾人はほんとに瑞稀のことになると心配性だよね〜。過保護というか」
「うっせぇよ、朱莉!!それ以上、余計なこと言ったら怒るからな!」


二人のやりとりにぽかんとしていると。
朱莉が口を開く。

「まっ‥見学はわたしも着いていくよ!だから綾人は安心してよ」
「はぁ!?‥そういう問題じゃないんだけど」
「えぇ〜?違うの〜??」

そんなやりとりをしているうちに。
慌ただしくお昼休みは終わっていった。




▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇ ▪️ ◇



そして、放課後。
先輩に教えられた生物準備室の活動場所へと朱莉といっしょに向かう。

「朱莉‥ほんとに着いてきてよかったの?」
「え??なんで??」
「いやっ‥朱莉は、他に入りたい部活があったんじゃなかったのかなーって」

そう言うと。
朱莉は笑いながら返す。

「ないないっ!そもそも、わたし部活入らなくていいやーって思ってたぐらいだし。今日、着いてきたのは瑞稀の気になる人がどんな人か見てみたいっていうのが1番の理由だし」

朱莉は正直だな。

そんな会話をしているうちに生物準備室の目の前まで来ていた。
扉を開けると。

そこには、無愛想な男の人が1人と‥

「あっ‥ほんとに来てくれたんだ〜」

七瀬先輩がいた。


「えっと‥部員って‥」
「あぁ‥俺らの他に2個上の先輩たちがいたんだけど卒業していなくなっちゃって‥実質今は2人で活動してるって感じなんだよね」


ーーーそっか。だから今朝‥
新入生が入らなくて困ってるって言ってたんだ。


「この子達‥涙の知り合い?」

無愛想な先輩が口を開く。
目つきが鋭くて‥きつそうな印象の人だ。

「まぁ‥知り合い、ってことで良いよね?」

ニコッと先輩があたしの方を見て笑いながらそう言う。
不意な笑顔にまた、鼓動が高鳴る。

「は‥はい。‥初めまして。見学に来ました、1年の春原瑞稀です」
「あっ‥わたしは、ただの瑞稀の付き添いに見学に来ました!香坂朱莉です」

緊張しているあたしとは対照的に朱莉はいつもの調子で自己紹介をさらっとしている。

「俺は部長の七瀬涙。それでこっちが部員の桜井颯。愛想はないけど根はいい奴なんだ」
「うっさい、涙」

七瀬先輩にそう言われて、ちょっと照れくさそうにしている桜井先輩。

ちょっと可愛いかも。

それぞれの自己紹介をした後に部活の活動内容など七瀬先輩は丁寧に説明をしてくれた。

基本的には毎月1回の学校新聞の記事を書いて発行している‥という事だった。

テスト前は部員で集まってみんなで勉強会をしたりしていたらしい。

「俺らの先輩で‥すごく勉強できる人がいてさ。テスト前はよくここで対策してたんだよね」

そっと‥開いていた窓から風がそよいで。
準備室のカーテンを揺らす。

ーーー何か‥大切なものを見つめるみたいな目で。七瀬先輩はそう言った。

理由はわからないけど。

先輩のそんな顔を見たら‥
なんでだか‥胸の奥がぎゅっとして‥少しだけ切なくなった。


「だからさっ‥バイトしてても負担になる部活じゃないし、テスト前も助けてあげられるし。入って‥くれない、かな?」

切ない表情から一気に切り替えて。
七瀬先輩はお願いと言うかのように両手を合わせてあたし達に頼み込んでいる。

「わたしは、入っても良いですよ?テスト対策してもらえるのは助かりますし。活動も楽そうだし」

予想外の朱莉の言葉にあたしは驚く。

朱莉につられるかのように。

「じゃあ‥朱莉が入るならあたしも入ります」



そう口走っている‥‥あたしがいた。