コメディ・ライト小説(新)
- Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.6 )
- 日時: 2023/12/29 03:06
- 名前: KAORI (ID: 7sIm71nw)
.°*・.PAGE5.・*°.〜それぞれの想い人〜
「へぇ〜…それで結局その日は帰っちゃったの?」
翌日の放課後。
学校近くのカフェで朱莉に昨日の事を話した。
ーーー七瀬先輩が寝言で呟いた紗奈先輩。
ーーーそして…あたしが七瀬先輩に恋をしている事を自覚してしまった事も。
「七瀬先輩はその紗奈先輩って人が好きなだけで別に付き合ったりしてないんでしょ?…だったら、好きになっても何も問題ないんじゃない?」
朱莉がチョコレートケーキをもぐもぐ食べながらそう言った。
「確かに…女の人と一緒にいる所は見た事ないから付き合ったりとかはしてなさそうだけど…」
「けど?」
あたしは、ミルクティーを一口飲んで言葉を続ける。
「好きな人がいて…フラれるって分かってて…好きになってもいいか迷ってる」
「ーーー別にいいんじゃないかな?」
朱莉に止められると思っていたわたしは、予想外の言葉にポカンとする。
朱莉はあっけらかんとした顔で言葉を続ける。
「想ってる人が今は違う人だとしても、人の気持ちって変わったりするし。瑞稀が一途に想ってれば先輩の気持ちもいつかは瑞稀に向く可能性もあるからわたしだったら気にせず、先輩を好きでいるかな」
真っ直ぐに…真剣な瞳で朱莉ははっきりとそう言った。
朱莉の考え方はあたしとはいつも違ってて。
相談する度に毎回的確なアドバイスをくれて。あたしは、そんな朱莉にいつも救われている。
「わたしは、こういう考え方なんだけど。参考になった、かな?」
朱莉がカフェモカを飲みながらあたしの顔を覗き込む。
あたしは小さく頷いて。
「うん‥すごく参考になった。ありがとう」
「それなら良かったよ〜。まぁ、わたしは今の瑞稀の気持ちを1番大切にしてほしいからさっ!またなんかあったら何でも相談してね」
笑顔を見せながら、朱莉はそう言った。
その後は適当な雑談をして朱莉とカフェでの時間を過ごした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
気づいたら19時近くになっていたため、急いでカフェを出て自宅へと向かう。
「ーーーあれ?瑞稀?」
朱莉と別れて、帰り道を歩いていると背中から声がして振り返る。
「え‥‥綾人」
綾人が小走りでこちらに向かってきて、あたしの隣へと来る。
「帰り‥今日は遅いんだな。朱莉とどっか行ってたのか?」
「うん‥カフェで長話しちゃって気づいたらこんな時間になってた」
そう言うと。綾人はため息を吐いて口を開く。
「そんな事だろうとは思ったけど‥。家まで送る」
「えっ‥いいよ、そこまでしなくて。家、もうすぐだし」
「最近、この辺り物騒だし。瑞稀は女の子だし心配だから送る」
何を言っても送ると言い張りそうだったから、あたしはそれ以上は何も言わず綾人の言う通り家まで送ってもらうことにした。
「ーーー朱莉とカフェで何話したの?」
不意に綾人にそう聞かれる。
あたしは、一瞬口ごもり言葉を返す。
「うーん‥あたしの‥‥恋愛相談、的な」
「瑞稀‥好きな奴、できたの?」
「えっと‥まぁ一応、ね」
綾人には興味のない話題かと思っていたのに、意外と食いついてきて驚いている。
「それってさ‥例のあの先輩、とか?」
「あははっ‥せいかーい。綾人はやっぱ鋭いね。まぁ、その人ね他に好きな人がいそうなんだけどそれでも好きでいることにしたんだ〜」
なるべく明るいトーンでそう言った。
だけど、綾人はじっとあたしを見たままそれ以上は何も言わずただ隣を歩いている。
なんだか‥綾人が不機嫌な気がする。
「綾人?」
「ほらっ‥家着いたぞ。じゃあな」
気がつくとあたしの家の前まで来てきた。
そそくさと走り去る様に綾人は帰って行った。
「なんなの‥‥」
ボソッとあたしは、そう呟き家の中へと入った。
この時のあたしは‥綾人の気持ちになんか何一つ、気づいてなかったーーーーーー。