コメディ・ライト小説(新)

Re: .°*・.夕空〜君の瞳に映るのは〜.・*°. ( No.7 )
日時: 2024/01/01 23:21
名前: KAORI (ID: XWWipvtL)

.°*・.PAGE6.・*°.〜好きな人の好きな人〜




ーーー放課後。

あたし達の学年は、現在高校に入ってから初めての中間テストで部活動は休み期間に入り友達同士で教室や図書室で勉強する姿がやたらと目に映る。

あたしはというと…新聞部に行けば先輩達が残していったテストの過去問がある為、それを参考にしたいがために生物準備室で連日テスト対策をしている…と、いうのは建前で。


ーーー本当は、 七瀬先輩に会いたくて準備室で勉強をしている。

我ながら不純な動機、と思いつつ準備室の扉を開ける。

そこには、桜井先輩が1人問題集を広げて勉強していた。


「あれ……桜井先輩だけですか?七瀬先輩は?」

桜井先輩は、無愛想な表情のまま問題集から目を逸らさずに答える。

「涙は、今日委員会だから遅くなるって言ってた」
「あ…そうなんですね」

あたしは、それ以上は何も言わず桜井先輩の隣に座り鞄から数学の教材を出して広げる。

その様子をじっと、桜井先輩が見つめている。
視線が気になってしまい、あたしは思わず口を開く。

「えっと…どうかしましたか?あたしの顔に何かついてます?」
「ーーー春原さんってさ、 涙の事…好きだったりする?」

あたしの問いかけを遮るかのように…桜井先輩はあたしに向かってそう聞いた。

その問いかけにあたしは、思わず気が動転してしまう。

「なっ…な…そんなわけ、ないじゃないですか」
「誤魔化さなくていいよ。見てて分かるし」

否定したにも関わらず、桜井先輩はそう言いきった。もう、何を言っても誤魔化せない。
そう確信したあたしは、ゆっくりと口を開く。

「ーーー七瀬先輩に…好きな人がいるって事は知ってます。分かってる上で…好きです」

はっきりとそう言うと。
桜井先輩は、目を大きく見開いて言葉を発する。

「ーーーそれ…涙から聞いたの?」
「いえ…前に七瀬先輩が寝言で紗奈先輩って言ってたのを聞いて…」

瞬間。桜井先輩のシャーペンを走らせる手がピタリと止まり
顔を上げてあたしと向き合う。

「なるほど、ね。…知りたい?紗奈先輩の事」

真っ直ぐな真剣な瞳で…桜井先輩はあたしに問いかける。

「話してくれるなら…知りたいです」

知るのは…正直怖かった。
だけど、七瀬先輩の大切な人がどんな人か知りたいと思う気持ちの方が強かった。

桜井先輩は、真剣な表情であたしの目をじっと見つめながら口を開く。




「ーーー春原さんの思ってる通り。紗奈先輩は…涙にとって今でも大切で、 好きな人だよ」



頭を鈍器で殴られたみたいに…衝撃が走る。
分かってはいたけど…改めて聞くと胸が苦しくなる。

この時。




ーーーあたしの好きな人には…他に大切に想う人がいるんだって
知った瞬間だったーーーーー。