コメディ・ライト小説(新)

Re: 雪と雫と日向 ( No.1 )
日時: 2023/01/13 12:29
名前: once (ID: dpACesQW)

プロローグ

***

雪は冷たくて痛くて触れると手が凍てつく。
雪の日は寒くて震えるし、生活が不便。

そうやって敬遠されがちな雪を、少女は称えた。
「雪景色は息を呑むほど圧巻だ」
「一年にそう多くは降らない、貴重で繊細な雪」

少女は雪が大好きだった。
せっせと作る雪だるま。
手袋が濡れても手が真っ赤になっても
毎年雪遊びを楽しみにしていた。

雪の季節に終わりを告げる頃。
季節の移り変わりを象徴するように
天気は快晴、日向ができた。

日向は徐々に自然に温もりを与えていく。
当然雪や霜は汗をかき始める。
少女は最後まで雪解けを眺めていた。
そこから生まれる雫まで。

雪だるまから滴る雫の、行く先を。

***

生まれ持った容姿も才能も頭脳も
一際目立った取り柄もない。
いわゆる平凡。
平凡では、厳しい世の中を渡れない。

それでもめげずに真実だけを追って
奇跡だけを信じて自分を貫く少女がいた。

あざみの棘が刺さっても
あなたにも笑顔をもたらしてくれるはず。