コメディ・ライト小説(新)

Re: 憑きもん! ~こんな日常疲れます!~ ( No.1 )
日時: 2023/12/17 11:00
名前: むう (ID: F7nC67Td)

 【プロローグ】

 「ねえ、私呪われてるのかな?」

 小学六年生のとき、近所の神主のおじいちゃんに尋ねたことがある。
 いきなりのことだったので、おじいちゃんは目をぱちぱちさせながら私を見た。

 「どうしたコマリ。またテストの点が悪かったんか?」
 「だってどの教科ずぅーっと44点なことある!? 台風が毎回うちを直撃するし、この前の修学旅行は新築ほやほやのホテルだったのに、急に全部屋停電するし!」

 まだ小っちゃかった私は、彼の袴にしがみついてわめく。
 加えて運動会では未だに晴天をおがめず、誕生日に限って熱が出るし、一緒に登下校していたお友達は皆引っ越すか転校しちゃう。だからいつもひとり。

「……国語、算数、理科、社会ぜんぶ44点なの」
 今回は5教科だけだったけど、家庭科でも音楽でもこうだった。
「ひとつだけ聞くけど、しっかり勉強はやったんよな」

 おじいちゃんの眉間にしわが寄る。
 私が馬鹿だと疑っているのだ。失礼!
 
「50点満点のテストだったりとかは」
「100のうちの44。もうこれ死ぬかなあ!? きちんと復習しても、塾に通っても44のままなの。めっちゃ不吉」

 最初は自分の努力が足りてなかったのかなとも思ったけど、同じ成績が六年間続くと流石に努力とかそういうものではないと確信した。
 授業もしっかり出てノートもきちんと取ってるし、宿題も毎日やってる。なのに点数は毎回なんとも微妙な数字。

「ね、やっぱ悪霊のしわざだよ。なんか憑いてるよぉ! おじいちゃん霊感あるんでしょ。教えてよ」
 するとおじいちゃんは難しい顔になって、顎に手をあてる。
「うーん。でも、見た感じ悪霊の気配はしないんだよなあ」

 霊の存在を否定された。
 ってことはつまり、『おまえのせいだ』ということなのかな。

「えぇ!? ちがうよ私馬鹿じゃないよ!」
「もしかしてあれか? んー、じゃがあれはかなり確率が」
「なに? なんなの?」

 神主のおじいちゃんはモゴモゴと口を動かして、言おうか数分間迷っていたけど、私の強い視線にとうとう根負けして口火を切った。

「【逆憑ぎゃくつき】何万人に一人、なるかならないかの、とんでもなく珍しい体質だ」