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コメディ・ライト小説(新)
- 2月の旅鳥 ( No.6 )
- 日時: 2023/01/22 22:46
- 名前: 此雨真狐 (ID: /m6A2I47)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13593
3月22日(火)
「行かないで(後編)」
荒海さんと山岸さん。そして、私。歩幅はどんどん離れていった。
もう同じ車両にも乗らなくなった。2対1になる方が辛いから。
でも、今日は水口さんが乗ってきた。親戚の家に行かなくてはならないから、という事だった。
水口さんは基本バスなので、電車で、しかも同じ総武線となれば珍しいものだったから、山岸さんは2人の輪に快く水口さんを招き入れた。さすがに3対1となれば精神的にも限界だ。そう思った私は中央線で帰ろうとした。本音を言えば新宿駅で降りるのだから中央線の方が速いのだ。
2対1になった今でも総武線を使っていた自分が馬鹿みたいだ。
しかし、水口さんが
「おざも一緒に帰ろうよ」
と言ってきた。私はそういうのを断るのが苦手だ。結局総武線に乗ってしまった。
どうしよう、3対1だ。それも明らかな3対1。前の3人席に左から順番に荒海さん、山岸さん、水口さん。ドアの前で3人が座る椅子のサイドに私が立っている。精神的苦痛がひどい。と、その時誰かが席から立つ音がした。水口さんだった。
「省かれんの辛いでしょ。私もよく学校でやまゆい(山岸結衣子の山と結衣でやまゆい)にあんただけ「E」(下から5番目のクラス)だからって省かれてる。気にしなくていいとおもうよ。」
嬉しかった。同情してくれる人がいたから。水口さんも新宿駅で降りるらしく、改札駅まで好きな歌い手の「いれ○す」の会話をして盛り上がった。勿論、2人きりで。誰にも邪魔されずに。
水口さんも私と同じ聖王立中学が第一志望校だから一緒に行けたらな、って思っていた。そう、願っていた。
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