コメディ・ライト小説(新)
- 第十三話〜祐也編〜 ( No.20 )
- 日時: 2023/01/29 18:24
- 名前: 黒猫夜空 (ID: O.mDLNUw)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
土下座しても、ダメなものはダメだ。
兄はその常識を知らずに言っているのだ。
そして、行けない理由も、生配信するからという理由だ。
でも、おつかいに行かなかったら叱られるのは俺もだ。
「ハイハイ、行ってきますよ、行ってくれば良いんだろ。」
俺は、くしゃくしゃで今にもちぎれそうな紙切れを握りしめると、兄に言った。
「でも、その分あとでお返ししてよ?」
兄は、えっという顔をしたが、渋々引き受けてくれた。
俺はドアを開けた。
白くて重いドアがギシギシ言う。
「じゃ、言ってくる。」
誰にも向けていない独り言をつぶやき、階段で下へ降りていく。
階段のてすりはあちこちがさびれ、最初の頃は綺麗に塗られていたペンキだってところどころ剥がれてきている。
タン。階段を降り終わって、地面に足をついた。
そして、自転車置き場に行く。
俺の、黒くてかっこいい色をした自転車のロックを外し、ペダルに足を乗せる。リュックサックはカゴの中にドサッと入れ、紙切れはポケットに突っ込んだ。
目指すべきは、ベジタブル前橋。
そう。ココの八百屋さんは、俺のクラスメート、前橋 亮太の住んでいる家だ。
だから、なおさら気が進まなかったのだ。
亮太は俺を見るなり、「よっ。」と声をかけてきた。
「今日はなに買う?」
亮太が気軽に話しかけてくる。
気まずくないのかと不思議に思いながらも、メモを読み上げる。
「えっと、ほうれん草とじゃがいもと玉ねぎとにんじん。」
「OK」
亮太は店の奥に入っていった。
そして、積み重なったダンボールの中から、手際よくほうれん草とじゃがいもと玉ねぎとにんじんを取り出す。
「ハイ、お待ちどう。」
意気揚々と、袋に入れた野菜たちを俺に抱えさせる。
遊ぶのには邪魔なので、自転車のカゴに突っ込んでおいた。
「じゃ、また学校で!」
亮太が手をふって、自転車で去っていく俺に別れを告げる。
俺は運転しているので手がふれなく、無視だと思われていないか心配になった。
そして、そのまま里原公園に直球した。
俺の友達、川本 隼人が待っている。
隼人は人気者。亮太と同じような存在だ。
そのため、情報量も多い。
「待たせてすまん!」
俺が言ったら、隼人は明るく笑った。
「いいよいいよ。むしろ、俺だって今来たとこだよ。」
と言っている。
ピコン!
スマホが鳴った。一体何だろう。
⇒十四話へ続きます!次回も祐也編!(連載を追いつかせないといけないため。)