コメディ・ライト小説(新)

黒雪姫ものがたり#6「叶芽ちゃん…」 ( No.8 )
日時: 2023/03/11 13:06
名前: 鏡花 (ID: xJUVU4Zw)

黒雪姫ものがたり#6「叶芽ちゃん…亅
「みらの、左!」
「あっうん…。」
叶芽ちゃんの後ろを、パタパタとついていくわたし。
これは…夢じゃないんだよね。すごく変な感じ。
叶芽ちゃんが一文字しゃべるたびに「うえぇ!?」、わたしが叶芽ちゃんに一文字しゃべるたびに「ひゃうぁぁ!?」……と、そんな具合。
そして、瀬央くんには帰る、帰ると言ったものの、まだ夢だと思ってしまう自分もいる。
「みらの、どこいくの?」
「うえぇ!?」
…おっと。ボケーっとしていたら間違えて右に曲がってしまった。
あわてて追いかける私に向かって。
「そっちはいかないで。すごく、すごく危ないからね。」
叶芽ちゃんが、暗い目をして、そう言った。
ゾーっと背中に怖気が走る。
叶芽ちゃんのオッドアイが一瞬、黒に包まれたからだ。これは相当やばいやつだ。黒い目を見た瞬間に感じ取った。わかった、と叶芽ちゃんに向かってうなずいた。


数分後…
「みらの、階段を上ったらつくよ。たぶん一分くらいで。」
ふう…やっと着くみたいだ。叶芽ちゃんと話しながら来たり、ムダに豪華で警備が並ぶ廊下を走ったり、
わたしの頭はもう爆発寸前だ。気がめいってしまった。
「ここまでありがとう叶芽ちゃん!」
「叶芽でいいよ」
「ありがとうね、叶芽!」
すると。叶芽はぱーっと明るい顔をして、くるん、と空中で一回転した。嬉しそうにふりまわしているしっぽに、
「……!?」
…植物の芽、みたいなものがくっついていた。そして、あんなにがりがりだった細いおなかにも、ちょっとお肉がついている気がする。
…………。
……………うん。
「じゃあ行ってくる!」
もうこんなワケの分からないところ、一刻も早く飛び出してやるわ!