コメディ・ライト小説(新)
- Ep.2『おにぎりの借り』 ( No.4 )
- 日時: 2023/03/25 16:51
- 名前: 信者 (ID: NdgXheZW)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi
『バタッ』
個室中。いや、トイレ中に倒れる音が響いた。
地縛霊何て、空想上。はたまた現実にいてるわけなどないだろう。
とりあえず、理性がぶっ飛んだ。
「……? 大丈夫か? 」
かすかに聞こえてきたが、彼女は。
---笑っていた。
☆
「と、いうわけで、君……」
「漣です。帳漣」
「漣には、私の『パシリ』になってもらいます」
さて、どう考えたとしてもこうはならないだろう。
トイレに女子と二人きり。それも男子トイレで。それも地縛霊と。
「……」
「うーん。まあ、なんか買ってきてくれーとかそんなもん」
と、俺は彼女に触れる。
やはりというか、透けた。
「……? 」
それを確かめると、俺はすぐに質問した。
「も、物に触れるんですか……俺はあなたには触れませんけれど」
「食べ物は触れるよ。人以外ならね」
『なんと都合のよい設定だ』。
そう思った。
「ということで、ファーストミッション! 」
「……」
「ほらテンション上げなよー! 」
「いや、でも、自分で行けばいいじゃないですか」
「はぁ、あのね、私地縛霊。ここから離れられません」
『なんと都合の良い設定だ』。
俺はまたそう思った。
「はい、ということで行ってらっしゃい。梅おにぎり2個で。購買のね」
「……幽霊もおなか減るんですか」
「何君ー。私のこと知ったからには報い。をね」
「……」
「はいはい、答えね。イエスだよ」
『なんと都合のよい設t……
「感謝してくださいね」
「うっす」
☆
と、購買についたはいいものの、俺は一度も購買に入ったことがなく、もちろんどこに何があるのかさえ知りもしなかったのだ。
『パン』『ごはん』……。
購買にしてはでかいが過ぎるだろう。
途中途中にコーナー分けの看板があったが、『おにぎり』コーナーなどなかった。
仕方なく、店員さんに質問をした。
「おにぎりの場所ってどこ……ですか」
「あ、あっち。ごはんのとこにあるよ」
少し呆れた。
そこには、チャーハンをはじめ、沢山の『ごはん』が揃っていた。
また、その横に影薄く、おにぎりが並んでいた。
俺とおにぎりの影が重なった気がして、勝手に病んだ。
それがいやになり、梅二つと、自分用にツナマヨも買って、レジを通し、すぐに出た。
そういえば部活から抜け出して、10分ほど経過しただろうか。
と、時計を見ると、示すは30分後。
いつの間にか俺は30分も抜けていたのだ。
さすがに焦りを感じ、右側歩行の廊下を右側疾走した。
いつの間にかトイレに戻っており、少しだけ陸部での頑張りを感じてしまっていた。
「おぉ、お帰り、遅かったね」
「最後の言葉いりませんよ」
と、俺は自分のツナマヨを抜き、おにぎりの入った袋を、彼女に渡した。
「はい、どうぞ」
「ありやとやした」
「……? 」
と、俺は、ツナマヨを手に隠し、トイレから出た。
すると。
「おいー! 」
トイレから声、幸い、周りに人はいなかった。
「なんですか……」
「今! 何隠した!」
---結局自分用に買ったツナマヨおにぎりも、彼女のものとなってしまった。