コメディ・ライト小説(新)

Ep.2『おにぎりの借り』 ( No.4 )
日時: 2023/03/25 16:51
名前: 信者 (ID: NdgXheZW)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi

『バタッ』

個室中。いや、トイレ中に倒れる音が響いた。
地縛霊何て、空想上。はたまた現実にいてるわけなどないだろう。
とりあえず、理性がぶっ飛んだ。

「……? 大丈夫か? 」

かすかに聞こえてきたが、彼女は。
---笑っていた。



「と、いうわけで、君……」

「漣です。帳漣」

「漣には、私の『パシリ』になってもらいます」

さて、どう考えたとしてもこうはならないだろう。
トイレに女子と二人きり。それも男子トイレで。それも地縛霊と。

「……」

「うーん。まあ、なんか買ってきてくれーとかそんなもん」

と、俺は彼女に触れる。
やはりというか、透けた。

「……? 」

それを確かめると、俺はすぐに質問した。

「も、物に触れるんですか……俺はあなたには触れませんけれど」

「食べ物は触れるよ。人以外ならね」

『なんと都合のよい設定だ』。
そう思った。

「ということで、ファーストミッション! 」

「……」

「ほらテンション上げなよー! 」

「いや、でも、自分で行けばいいじゃないですか」

「はぁ、あのね、私地縛霊。ここから離れられません」

『なんと都合の良い設定だ』。
俺はまたそう思った。

「はい、ということで行ってらっしゃい。梅おにぎり2個で。購買のね」

「……幽霊もおなか減るんですか」

「何君ー。私のこと知ったからには報い。をね」

「……」

「はいはい、答えね。イエスだよ」

『なんと都合のよい設t……

「感謝してくださいね」

「うっす」



と、購買についたはいいものの、俺は一度も購買に入ったことがなく、もちろんどこに何があるのかさえ知りもしなかったのだ。

『パン』『ごはん』……。
購買にしてはでかいが過ぎるだろう。
途中途中にコーナー分けの看板があったが、『おにぎり』コーナーなどなかった。

仕方なく、店員さんに質問をした。

「おにぎりの場所ってどこ……ですか」

「あ、あっち。ごはんのとこにあるよ」

少し呆れた。

そこには、チャーハンをはじめ、沢山の『ごはん』が揃っていた。
また、その横に影薄く、おにぎりが並んでいた。
俺とおにぎりの影が重なった気がして、勝手に病んだ。

それがいやになり、梅二つと、自分用にツナマヨも買って、レジを通し、すぐに出た。

そういえば部活から抜け出して、10分ほど経過しただろうか。
と、時計を見ると、示すは30分後。
いつの間にか俺は30分も抜けていたのだ。
さすがに焦りを感じ、右側歩行の廊下を右側疾走した。

いつの間にかトイレに戻っており、少しだけ陸部での頑張りを感じてしまっていた。

「おぉ、お帰り、遅かったね」

「最後の言葉いりませんよ」

と、俺は自分のツナマヨを抜き、おにぎりの入った袋を、彼女に渡した。

「はい、どうぞ」

「ありやとやした」

「……? 」

と、俺は、ツナマヨを手に隠し、トイレから出た。
すると。

「おいー! 」

トイレから声、幸い、周りに人はいなかった。

「なんですか……」

「今! 何隠した!」

---結局自分用に買ったツナマヨおにぎりも、彼女のものとなってしまった。