PR
コメディ・ライト小説(新)
- Re: 孤独な私と使い魔の沖田くん。 ( No.2 )
- 日時: 2023/06/01 16:09
- 名前: オタクちゃん ◆garYubfI0Y (ID: quQfBDMh)
《第1章 孤独との戦い編》
【第1話】
「わぁ…!」
空き教室の隅で弁当箱を開いた文音は、その中身に感激した。
優里亜たちがうるさいのでいつもここで弁当を食べることにしているのだ。
今日は、サンドイッチ弁当だった。
母は娘が空き教室で弁当を食べているとは思わないだろう。
そんな思いが一瞬、文音の胸を痛めた。
しかし、箸を手に取る。
「いただきます」
そう呟き、サンドイッチを口に入れようとした。
しかし、その瞬間、扉が開く音がして、肩をふるわせた。
「文音さぁ、またここで弁当を食べてるの?」
声の主は、文音の幼なじみでクラスメイト、学級委員長の鏡見瑛翔だった。
「どこで昼食を取ろうが個人の自由です。学級委員長がわざわざ訪ねる必要はないんじゃないですか」
と文音は冷静に答えた。
「でもさ、寂しくないの?」
瑛翔の言葉に、一瞬、返答に詰まった。
本当は小学校の頃のように、誰かと一緒に食べたいと最初は思っていた。
しかし、この3年間、こうして食べてきたので、何も感じなくなってしまった。
「中学3年間で『寂しい』という感情を感じない脳の設計になってしまったので何も感じません」
と言い、文音はサンドイッチを口に放り込んだ。
瑛翔はなにか言いたそうな顔をしたが、
「そっか」
と言って、空き教室を出た。
人間はなぜ、これほどにも仲間を欲しがるのだろう。
文音は不思議に思った。
友達なんて居なくても、生きていけるはずなのに。
そんなことを考えつつ、文音はサンドイッチを食べ、昼食を終えた。
PR