コメディ・ライト小説(新)
- Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.12 )
- 日時: 2023/09/10 17:14
- 名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: SgaRp269)
《第12話》
俺が新しく通うことになった学校は、横浜駅の近くにあり、電車通学となった。
以前とは違い、公立ではなく私立だったので、緊張が収まらない。
お嬢様とかいるのかなぁ…、などという想像をしながら電車に乗り込む。
そこで俺は今日1つ目の大発見を目にする。
車掌さんが、人を押し込むだと……!?
仙台でも満員電車は目にしたことはあるが、車掌さんが人を押し込んでいるというのはてっきりニュースの世界の話だと思っていた。
よく考えれば、あまり周りを見ていなかっただけかもしれないが、これは俺に取って、かなりの大発見だった。
驚きの光景を目にし、一気に肩身が狭くなったような気がした。
そこから逃げるように、俺はいとこに向けてLINEを打つ。
「車掌さんが満員電車で、人を押し込むという光景を初めて目撃しました。横浜ではしょっちゅうあるものなんでしょうか?」
返信を待つ時間がとても長く感じる。
1,2分ほどして返信が来た。
『しょっちゅうというか…。よくわからないな』
『政宗が考えるほどは珍しくないと思うけど』
珍しく、ない……。
満員電車をとても恐ろしく感じてしまう俺に、これから何が訪れるのだろう。
転入先の学校は、きれいな6階建てだった。
自己紹介を終え、言われた通りの席に着席する。
というか、すごく視線を感じる気が…。
それが、『伊達政宗』という名前によるものか、右目の眼帯によるものか、単なる転入生というものに対する興味か、分からなくてギブアップしそうだ。
朝のホームルームが終わり、次の授業へ準備を始めたところで、いきなり隣の女子に話しかけられた。
今までオーラを消しているかのように静かだったもので、全然意識が向いてなかったと、反省する。
「あ、あの…。隣の席の柴田美織と申します。一応学級委員長なので、何かあったら頼ってもらえると嬉しいです」
美織、と名乗った女子は髪はセミロングでそれほど目立つタイプではなさそうだった。
そして、ここで俺はまさかの失言をしてしまう。