PR
コメディ・ライト小説(新)
- Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.17 )
- 日時: 2023/09/30 11:39
- 名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: Yry.8Fde)
《第17話》
「なんか可愛い子来たね。初日から彼女できたの?」
廊下の壁にぴたーと背中をくっつけて体育座りをしながらリビングの方を見ていた俺に冗談混じりでそう話し掛けてきたのは、上杉謙信。
彼は夏だというのにいつもの白いパーカーのフードをかぶって、爽やかな笑みを浮かべている。
でも、三浦くんとは少し違うイメージだ。
「彼女なわけないだろ」
俺が少し怒り気味にそう答えると、
「ごめん。冗談だよ」
とあっさり謝ってきた。
彼もまた俺の隣に同じ姿勢で座る。
「彼女はキーマンだからでしょ?」
いきなり謎の質問をしてくる。
「は?」
「柴田美織。17歳。星川高校特進クラス所属。茶道部に在籍し、その実力はまさに鶏群の一鶴」
「なんでお前が知ってんだよ」
「だから…さっきから言ってるだろ、彼女はキーマンって。俺たちの成り立ちに関わることを何か知っているかもしれない」
彼は得意げに笑った。
「……」
俺は首を傾げた。
彼女がキーマンだとしても、なぜその情報を握っているのかわからない。
「…その情報、どっから知ったんだ」
「え―――!教えなきゃダメ?」
「教えろよ、情報は公平に扱うべきだろ?」
「しょうがないなぁ」
とため息をつきながら彼は機械が大量に並べられた自室へと向かう。
「これだよ」
俺がモニターを覗き込むと、熊野さんのSNSの画面が出てきた。
「なんで熊野さんのSNSが…?」
「お前がぼーっとしてるからだろ」
よく見ると、モニターの下には、今日、熊野さんからもらったばかりの名刺が置いてある。
「お前が台所でぼーっと水飲んでる間に拝借したんだよ。名門校ってのはなぁ、変わり者がいたりするんだよ。何か情報頂けるかもしれないと思って手帳のポケットとか見てみたら案外入ってた」
そんな言葉で、己の不甲斐なさに嫌気がさした。
PR