コメディ・ライト小説(新)

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.22 )
日時: 2023/10/30 05:38
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: bAc7FA1f)

《第21話》

『雑草』という名の植物はない、と、人々は言う。
どの草にも名前がある、と。
誰かが私の努力を、「『神童』だから」とか、「『元々の才能』だ」とか言わないで、ありのままに認めてくれるんじゃないか、と考えている自分がいる。
夜空から消える、流れ星のような希望を持っている。
奇跡を、祈っている。

そんな奇跡が起きないことは、知っている。



伊達さんが転校して来てから2週間、星川高校ではあるイベントの準備が本格的に始まろうとしていました。
運動音痴には地獄でしかない、体育祭…。
学級委員も様々な準備に繰り出されてしまう。
しかも、体育祭の1週間前には前期の中間テストが控えている。
先生方はどういう考えで行事の日付を決めたのか、さっぱりわからない。

「おはよー!」
私が朝早く、教室に入ると珍しく陽花ちゃんがいました。
いつも陽花ちゃん達は私より遅くに来るので、こういうことは珍しい。
「今日は朝練あったの?」
私が尋ねると、
「うん。体育祭があるから吹奏楽部も演奏するんだって。顧問が力入っちゃってさ、朝練ばっかり」
陽花ちゃんはホルン担当です。

「いつもはそんなにホルンのソロないんだけどね、体育祭で演奏する曲はホルンのソロがあるから頑張って練習しないといけないんだよね……」
「頑張って!応援してる」
明るいけど、柔らかい雰囲気の陽花ちゃんがホルンのソロパートを演奏したら、きっと柔らかい中に芯もある、素敵な音色になるのかな、と想像しながら私は席に着きました。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.23 )
日時: 2023/10/30 05:39
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: bAc7FA1f)

《第22話》

その日のロングホームルームでも体育祭の準備です。
学級旗を作るところからスタート。
まずはデザイン決め。
全員がデザインを描いて、それを黒板に貼ってから投票して決める。
司会は体育祭実行委員が主に行うので、学級委員はそのお手伝いです!

「1,2,3..」
と三浦くんと協力して票を数えているとある発見が。
三浦くんが声を潜めて、私に話しかけてくる。
「なんか19番、すごい票多いね」
「ですよね…」
実は私もそのデザインに投票した。
クラステーマが書かれていて、有名なキャラクターをモチーフにしている。
とても迫力があって、いいなと思っていたのだ。
美術部の人が書いたのかなぁ。

「結果は、19番に決まりました」
と実行委員の女子・小松崎茜こまつざきあかね ちゃんが淡々と結果を言うのを聞きながら私は内心、このデザインを書いたのは誰なんだろうと気になっていました。
「誰が描いたか、言った方がいい?」
と茜ちゃんが小声で尋ねてきたので、私は頷き返した。
「えっと…あ、伊達さんが描いてくれたんだね」
ちらほらと拍手が鳴り始め、やがて教室全体に、その拍手は広がっていきました。
まさか伊達さんが描いていたなんて…!
調理実習の時も思ったけれど、伊達さんは器用なんだなと改めて思いました。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.24 )
日時: 2023/11/06 05:32
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: FA6b5qPu)

《第23話》

その日の放課後、早速みんなで学級旗を作ることになりました。
といっても、集まったのは私と伊達さん、三浦くん、それから部活がないという杏ちゃんだけでとても人数が少ない……。
陽花ちゃんや他のみんなも委員会や部活があるみたいだかる仕方がないけれど、本音を言うともっと来てほしかったなぁ。
そんな事を考えながら職員室に布を取りに行って、塗料も取ってきて作業スタート。
三浦くんがプロジェクターを借りてきてくれたので、それに学級旗のデザインを読み込ませ、黒板に貼った布に映していきます。
プロジェクターで映ったデザインに合わせ、鉛筆で線描きを施していく。

10分くらいで終わったので、次は色塗り。
4人で協力して、丁寧に色を塗っていきます。
沈黙が流れていた教室で最初に声を出したのは、三浦くん。
「政宗は、こういうの得意なの?」
いつの間にか距離を縮めて、下の名前で呼び合う仲になったんだ…。
三浦くんのコミュ力にはつくづく感心する。
「え?いや、そんなに得意だと思ったことはないけどな」
「いいなぁ、絵の才能」
と羨ましがる杏ちゃん。
私もなにか言ったほうがいいかな…。
そう考えているうちに、会話はいつの間にか進んでいました。
会話の中に入ることは諦めて、1人黙々と作業していたらついに私が会話の話題に。

「柴田さんって、意外と静かだよね。集中力あるって感じ」
うわぁ、なんと返答しようか!
「え…そんなに集中力ないと思いますが…」
いいえ、コミュ力がないので黙っているだけです。
言葉の裏にそんな意味を込めながら言うと、三浦くんからまさかの一言が。
「いや、美織ちゃんは集中力あると思うよ。じゃなかったらテストで学年1位キープできないって」
「えっ!?もしかして、私この間のテスト1位だったんですか!?」
忙しくてまだ順位チェックしてなかった!
なのにネタバレ食らった……。
「そうじゃないの?俺見たよ」
と伊達さんまで反応してきて、私は頭がパニックになりながらただ作業を続けていました。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.25 )
日時: 2023/12/06 12:09
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: mKkzEdnm)

《第24話》

その日の夜。
私はまた豊臣さんが出してくれたお抹茶を飲みながら、伊達さんと愚痴を言い合っていました。
この間お茶を点ててくれたのは豊臣秀吉さん、という方みたい。
従兄弟まで戦国武将の名前だなんて奇跡だと思う。

愚痴は色んなジャンルへと飛び、家族の話へ。
愚痴を言い合うといっても、伊達さんが聞き上手なので私だけが話しているみたい…。
そんなことを考えつつも、愚痴は止まる気配すら見せてくれません。
「ひどくないですか!?インフルのときくらい家事せずに休んだって良くないですか?」
「それはひどいね…インフル辛いのに」
「しかも!自分がインフルのときはあれ買ってこい、これ買ってこいうるさいんです!」
「あ~、それないわ」
と伊達さんは私の愚痴をとにかく真面目に受け止めてくれていました。

ついに長い長い愚痴を語り終え、机に突っ伏してしまった私に、なんと伊達さんはブランケットまで掛けてくれたのです。
「エアコン寒くない?」
「あ、いえ…。なんかここまでしてくれると罪悪感が湧いてきてしまって……」
「そんな思う必要ないのに」
転入生相手に何言ってるんだろ…。
これでも学級委員長だからもっとちゃんとしないとなぁ。
「柴田さんって人見知り?」
「私、人見知りに見えますか…?」
「いや、そうじゃなくて。学級旗やってるときもずっと静かだったなぁと思って」
「あぁ…」
何回か迷った末に、私は伊達さんに自分の過去を話すことにした。
なぜか自分の意志で、そうすることにしたのだ。
伊達さんに対して、今までとは違う、なにか特別な感情が湧き上がっている。
これ、なんだろう…?

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.26 )
日時: 2023/12/06 12:23
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: f9c/TndF)

《第25話》

「私が、横浜に引っ越してきたのは中学1年生に上がるときです」

当時、まだ見慣れない駅ビルに、新生活に必要なものを買いに行った記憶がある。
その時の私は新しい希望に満ち溢れていた。
引っ越したことで、私を取り巻く人々も変わる。
私のことをまだ知らない人が多い、ということはもう「神童」って言われなくて済むのかもしれない。
以前暮らしていた仙台では、ずっと周りから「神童」と呼ばれて生きてきた。
全国模試で一桁台の順位を取っていることがなぜか周囲に広がり、そう呼ばれるようになっていた。
私はそう呼ばれるのを頑なに拒絶していた。
努力して成果を出しても、大抵は「神童だから」で片付けられてしまう。
そんな環境が嫌で、毎日逃げ出したかった。
だから、お父さんが横浜へ異動になると聞いた時、心底ホッとしたのを覚えている。

誰も知らない、中学校の入学式。
私はそこで、2人の大切な親友に出会った。
それが、陽花ちゃんと杏ちゃんだ。
2人は元々、同じ小学校で仲が良かったらしい。
そこに、私も混ぜてもらえて平和な生活がスタートした。
毎日一緒にお昼ご飯も食べたし、時にはおかずを交換したりして毎日が楽しかった。
逃げ出したいなんて思わなかった。
この日々が永遠に続けばいいのにと願った。
そこにヒビが入ったのは、まだ入学してから2週間たったばかりの頃だった。

お母さんが、交通事故に巻き込まれたのだ。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.27 )
日時: 2024/01/18 16:20
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: 5fsUPV.h)

明けましておめでとうございます。
かなり遅い新年の挨拶となってしまったこと、深くお詫び申し上げます。

2023の冬の小説大会で、銅賞をいただくことができました。
この作品に投票してくださった全ての方に、厚く御礼申し上げます。
今後もぼちぼちと投稿していく予定なので美織ちゃんと政宗くんのお話を温かい目で見守っていただけたらと思います。

この頃、小説がなかなかうまく書けない日々が続いておりました。
中学生になってから、環境の変化にさまざまなトラブルが重なってしまい、精神的にかなりきつい状況に追いやられていました。
しかし、このような結果を頂けたこと、この小説に1票を入れてくれた方がいるということに気づき、やはり何が何でもこの物語を完結させたいと思うようになりました。
まだまだ未熟ですが、精一杯頑張っていきます。

今後とも宜しくお願い致します。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.28 )
日時: 2024/04/06 14:47
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: WZc7rJV3)

最近全然書けていませんでしたが4月になったので復活します。
今年中に完結させたい!
かなり長編になってしまうことが見込まれるので無理かもしれませんが、頑張ります。
まずは月に5話を目指して。
日々コツコツと頑張りますので、よろしくお願いします。

この作品に、出会えてよかったと思ってもらえますように。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.29 )
日時: 2024/04/06 15:04
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: WZc7rJV3)

《第26話》

学校を早退して、まだ慣れない街の中を駆け抜けていく。
病院へ行く途中、商店街の中が事故現場だと分かった。
商店街には車が突っ込んでいて、色んなものが散乱していた。
そこに、お母さんが大切にしていた手帳を見つけ、背筋が凍る。

病院へ入り、お母さんの部屋番号を尋ねる。
お母さんは重症なのかと思ったけれど、案外、軽傷で安心した。
全身から力が抜けていく。
「もう………。美織は心配性なんだから………」
「普通家族が事故にあったって聞いたら心配するでしょ!」
そこに、お父さんと沙絵もやってくる。
しばらく、たわいもない会話をした。

家に帰ってコンビニのご飯を食べ、まったりしていた夜の9時ごろ、急に病院から電話がかかってきてゾッとした。
「お母さんが危篤だって……」
お父さんはそう、私に言った。
いつもは頼りがいがあるのに、その顔はすっごく青ざめていた。

お父さんの携帯が音を立てて落ちた。

なんで、なんで、なんで。
お母さん軽傷だったはずなんじゃ…?
病院へ駆けつけると、数名の医師と看護師が、待ち構えていた。
「急に容体が急変しました。今夜を乗り切れるか分かりません……」
え………。
つい数時間前まで、普通に会話してたのに。
今夜を乗り切れるか分かりません、と言われても。
意味がわからなかった。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.30 )
日時: 2024/04/06 15:12
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: WZc7rJV3)

《第27話》

お母さんは、先程まであったはずの活力は消え失せ、まるで別人だった。
お母さんは、私に力を振り絞って言葉を紡ぎ出す。
「美織……」
「お母さん!しっかりして!」
「高校生になったら、星川高校に行きなさい」
私の動揺は止まらなかった。
なんで死ぬ直前に高校の話なんてするの?
いや、思い出話とかそういうのじゃないの?
お母さんは学歴なんかにこだわる人じゃなかった。
まるで人が変わってしまったようだ。

「そこの特進クラスに通いなさい。そこで、あなたの人生はきっと変わる」
「え……?」
廊下から、沙絵がすすり泣く声が聞こえてくる。
怖い、と言って廊下へ逃げ出してしまったのだった。
お母さんの手から、急激に力が抜けていく。
やがて、病室にアラーム音が響いた。

お母さんが死んだなんて、実感は湧かないままだった。
滞りなく葬儀も終わり、お母さんと別れを告げる日々は終わった。
それから毎日が変わり、1日1日を生きるのが大変だった。
やがて、学校へも行けなくなった。
初めの頃は先生も何度か来てくれたけれど、だんだん来なくなって。
その時にやっと気づいた。

大切な人がいなくなる世界なんて、怖い。
こんな世界、生きていけるのかな───と。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.31 )
日時: 2024/04/07 12:23
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: aByXSACk)

《第28話》

それでも、日々は進んでいく。
3年生になって、高校受験のことを考え始めて、学校に行く決意ができた。
リュックも制服も、数週間しか使っていなかったから、新品のようだった。
もう、これまでのことなんか忘れよう。
普通に勉強して、いい高校に行こう、そう決意した。

願書を提出する時、お父さんは私に言った。
「本当に、星川高校でいいのか?」
「うん」
私は最大限の活力を振り絞って、頷く。
お母さんの遺志に、逆らう気力なんて残されていなかった。
全てがどうでもよくなっていた。

でも、高校に入ってから変わった。
毎日が楽しくて、伊達さんや三浦くんと出会って、『楽しい』なんてレベルじゃなくて。
また気づいた。
お母さんも、「人生が変わる」って言ってたなぁ。


「へぇー」
伊達さんは、私の話に口を出すことなく、真摯に聞いてくれていた。
出会えて良かったな、と心から感謝する。
しかし、私は、微かな違和感を感じた。
伊達さんの目の色、翡翠色になってる……?
もう一度瞬きをした時、目の色はいつも通りの黒だった。
気のせいかな……。

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.32 )
日時: 2024/06/29 17:44
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: 51us8LMs)

《第29話》

あの日、伊達さんの目の色は確かに、翡翠色になっていたと思う。
一瞬だけだったけれど。
私はそんな疑問を抱えながら、日々を過ごし、時々、伊達さんの家にも遊びに行かせてもらいながら、そうこうしているうちに7月になりました。
もうすぐ夏休みです!

そんな夏休みを目前にし、私はある決意を固めました。
伊達さんの目の色のこと、聞いてみようかな…。
そんなことを考えながら帰宅し、玄関のドアを開けようとすると、隣に豊臣さんがいました。
「美織ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです」
「最近暑いなぁ」
「もうすぐ夏休みですけど、外に出る気力なんてありませんね」
「そうやなぁ」

あ、今が目の色のことを聞くチャンス…!?
私は出しかけていた鍵をしまい、豊臣さんに聞いてみます。
「そういえば聞いてみたいことがあって…」
「何?」
「この間私が愚痴っていた時あったじゃないですか。あの時、私の話を聞き終えた後に伊達さんの目の色が翡翠色になってたような気がして…」
「え?」
豊臣さんが眉をひそめたのが分かった。
変なことを言ってしまったなと後悔する。
やっぱり何でもないです、と言おうとしたそのとき。

「伊達の翡翠色の目のこと、誰にも言わないって約束するなら詳しく話す」
「もちろん!誰にも言いません」
「なら、バレちゃった以上話すしかないな」
私はお家にお邪魔し、詳しく話を聞かせてもらうことにした。
というか、聞かないと、スッキリしない。
このようなモヤモヤした気持ちを抱えたまま夏休みに入るのは本望ではありません。

またお抹茶を出してもらった。
豊臣さんのお抹茶はすごい優しい味がする。
そういうところにも、性格って出るのだろうか…?
そんなことを考えていたら、豊臣さんが真正面に座ったので私は慌てて姿勢を正します。
「伊達の目のこと、あれは超能力や」
「え、どういうことですか…?全く意味が分かりません」
「ごめんな、急に混乱させて。超能力を持ってるのは、伊達だけやない。俺たち8人、全員そうや」

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.33 )
日時: 2024/06/29 18:00
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: 51us8LMs)

《第30話》

「ええっ!?皆さん、超能力お持ちなんですか?」
「うん、一応。体力を使うから俺はあんま使わへんけど」
「豊臣さんは何の超能力をお持ちなんですか?」
「美織ちゃん、前から思ってたんだけど『豊臣さん』って呼ばれると違和感しかないから『秀吉』でええよ」
「すみません…!」
「いやいや、謝ることやないし…。美織ちゃんは、本当に真面目やなぁ。伊達から聞いたけど学級委員長にぴったりや」
「そんなことありません!」
「そんな謙遜せんでもええのに。それで俺の能力だっけ?」
「はい。秀吉くんの能力は何かとても気になります」
「なんか美織ちゃん目がすごいキラキラしとるなぁ。そんなことは、さておき俺の能力は『人の心を開く』ことや」

えぇ、そんな能力あるんだ。
私もいつの間にか秀吉くんの能力にはまってたってこと…?
「まぁ、そんな滅多に使わないけど。使わなくてもうまくコミュニケーション取れるし」
「伊達さんが、私に使ってきた能力は何ですか?」
「あぁ、伊達?伊達は確か『秘密を知る能力』だったような気がするんやけど。『人の秘密を知ってしまうとうまく接せなくなるから』って本人はあんま好んでなかったはずやけどな」
じゃあ、なんで私に使ってきたんだろう…。
ますます謎が深まってしまう。
というか、その能力、プライバシーの侵害では。
でも、私はお母さんが亡くなって、2年くらい不登校になったことしか秘密がないから、最悪、知られても、まずくはない。

「ちなみに、他のやつは念力とかも使えるらしいなぁ」
「念力とかかっこいいですね!超能力ってどうやって使うんですか?」
「本能的なものやからなぁ…。うまく表現できないけど、頭の中心に意識を集めるイメージ」
「へぇ、勉強になります!」

目の色の謎は、一旦解決したけれど、なぜ能力を使ったのか、伊達さんの心理がますます分からなくなってきました。