コメディ・ライト小説(新)

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.54 )
日時: 2025/03/30 16:28
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: 5pWnbbjD)

《第37話》

アイデアを紙に書いていると、
「美織は字が綺麗だな」
と武田くんに話しかけられました。
「え、いや、それほどでも……」
慌てて全力で否定する。
「でも、姉は中学生の時に横浜市の席書大会の硬筆部門で優秀賞取ったんですよ。習字は習ってないんですけど。しかも、優秀賞の中でもトップ10に入ってました。トップ10に入ると市民ギャラリーに展示されるんです」
と沙絵が続けた。
「え!?マジで!?」
と伊達さんが目を見開く。
……ちょっと待ってくれ、我が妹。
あまり他人の前で実績を見せびらかす様なことは、して欲しくないのが私の本音だ。
第一、私より優秀な人は高校の同級生にも沢山いるのだし……。
そして、横浜に来てから「神童」と呼ばれなくなったのは、私が実力をひた隠しにしてきたからなのだ。
私が横浜に来てからの4年間で守り抜いてきたものを、崩そうとしないで欲しい。
そう思い、深いため息をついてしまった。

「柴田美織は、私の自慢の姉です!」
と沙絵が胸を張っている。
でも、沙絵は私のことを誇りに思ってくれているのだとしたら……。
そう考えると、何も言えず、恥ずかしさで俯いてしまいました。
私は人の感情にとても弱い。
「沙絵、今は話し合いの最中だよ。とっとと終わらせよう。あんまり長居すると迷惑になっちゃうから」
私は話し合いを本題に戻しました。

「じゃあ、まず表紙。誰が描く?」
「・・・・」
と誰も手を挙げる気配がない。
そりゃそうだよなぁ。
表紙はよく見られる部分であるわけだし、画力の問題もある。
表紙の担当決めは後回しにして、他の担当を決めることにしました。

スケジュールの書き起こしは、じゃんけんで勝った武田くん。
新たに追加された、伊東市の観光地調べは沙絵。
そして、裏表紙は伊達さん。
表紙はじゃんけんで負けた私が描くことになりました。
うぅ…、なんで大事な時に限ってジャンケンに負けるんだか。