コメディ・ライト小説(新)

Re: ファイティン・ラブ!~彼氏は推しでした~ ( No.9 )
日時: 2023/08/21 16:51
名前: このか ◆XqDKo6W48k (ID: I3friE4Z)

《第9話》

ジャージで!?
お抹茶を…点てるだと!?

茶道のイメージとはあまりにもかけ離れたそれに、私は驚愕してしまいました。
しかし、実を言うと、私の部活ではジャージでお抹茶を点てることはそれほど珍しくはない。
夏の間はジャージ登校が許可されているから、かなりの人がジャージで登校する。
熱いお湯を扱う茶道部でも、かなりの人はジャージで登校している。
でも、部活以外でそれを現実に見てしまうとなんだか異様な感じがして落ち着かない。
理由は分からないが、モヤモヤするのだ。

一旦それは置いて、綺麗に点ててもらったお抹茶をいただくことにする。
かなり泡立っているから、私と同じ裏千家のやり方を習っているのかも。
しかも私の好きな薄茶だったのでラッキーだった。
「お点前頂戴いたします」
と礼をし、お茶碗を回して茶碗の正面を避けてお抹茶を飲む。
疲れた体に、お抹茶の味が染み渡る……!

「お抹茶、美味しかったです。ありがとうございました」
「いやいや…。こんな格好ですみません」
その少年は言った。
「公の場ではないのですから、格好くらい気にすることはありません…!私の学校でも、夏はだいたいみんなジャージでお点前してますよ」
「そうなんですか!?驚きました」
などと、会話を交わし私は部屋を出た。
「ありがとうございました。それでは、失礼します」

家についてしばらくすると、郵便物をチェックするのを忘れてきてしまったことに気づいた。
慌ててエントランスに向かう。
中には、ハガキが一枚だけ入っていた。
差出人を見てまた驚愕する。
「貴史くんだ……!」